海上輸送高騰、23年までに世界の輸入価格11%押し上げも

海上輸送高騰、23年までに世界の輸入価格11%押し上げも

UNCTAD報告書、船会社など関係者に連携して業務効率化やデジタル化など訴え

国連貿易開発会議(UNCTAD)は11月18日、海上貨物輸送に関する2021年の報告書を公表した。

現状のようなコンテナ船の運賃高騰が持続した場合、23年までに世界の輸入価格を11%、消費者物価も1・5%押し上げる可能性があると分析。世界経済が新型コロナウイルス感染拡大の打撃から回復する上で影響しかねないと懸念を示し、各国の海運会社や港湾運営会社、荷主企業などに対応を促した。

報告書は運賃上昇の背景として、20年後半から21年にかけて商品の需要が急増した上に、コンテナや労働力不足など供給側の能力制約が響いていると解説。スポット輸送市場の動向を反映している上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)は20年6月が1TEU(20フィートコンテナ換算)当たり1000ドル(約10万円)未満だったのが、20年末までに約4000ドル(約40万円)、今年7月末までに7395ドル(約74万円)まで跳ね上がったことに言及した。

特に、物資の輸入を海上輸送に頼る発展途上の島しょ国が運賃高騰の最も大きな影響を受けており、今後は輸入価格が24%、消費者物価が7・5%上昇する可能性があると予測。「消費と生産が貿易に大きく依存している発展途上国の経済を減速させる恐れがある」と警告している。

その上で、世界平均の海上輸送コストが港湾インフラの質改善で4・1%、貿易手続きの円滑化で3・7%、定期船の運航効率改善で4・4%それぞれ抑制できると試算。関係者が情報を共有して海上輸送効率化へ連携するよう訴えるとともに「デジタル化や貿易円滑化など新しいソリューションへの投資が必要になる」とアピールした。

(藤原秀行)

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