日本郵便の社内調査でずさん管理判明、他の分も合わせると21万人超に
日本郵便は12月15日、国債や投資信託の取引に関する顧客の個人情報を記載した書類を社内で大量に紛失していたことが判明したと発表した。
2020年に郵便局4カ所で、顧客との取引情報を掲載し、法令で一定期間の保存が義務付けられている「金融商品仲介補助簿」が失くなっていることが分かったのを受け、同社が社内調査を続けていた。同社によると、国債や投資信託を取り扱う全郵便局の約3割で同様の紛失事例が認められたという。
今回の失態を受け、同社は関係役員3人を厳重注意処分とした。
同社は「社会的・公共的役割を担い、信頼を第一とする弊社として、このようなお客様情報の紛失が発生したことは、誠に申し訳なく、お客様に多大なご心配をお掛けしたことを深くおわび申し上げる」と謝罪。当該情報の電子化を含む業務手続の見直しや継続的な社員指導などを進めると強調している。
同社によると、20年12月から21年11月にかけ、ゆうちょ銀行併設局を除く対象の1万9816局を同社検査室の担当が訪問し、10~19年度の仲介補助簿の保存状況を確認。その結果、3割強の6389局で社内紛失が判明した。顧客数は約7万2000人分に達した。仲介補助簿には顧客の個人名や取引した銘柄と金額などが記載されていた。
さらに、同じ期間で仲介補助簿以外の、各種料金の払い込みの取扱票など郵便局で控えを保存する書類についても調査したところ、5%超の176局で計約14万2000人分の社内紛失が明らかになった。トータルで21万人分を上回った。
同社は各書類について「保存期間の認識相違や保存する箱を入れ間違うなど、誤った手順により廃棄された可能性が高いこと、また、これまでに本件に関係すると考えられるお客様からの照会、不正な要求は発生していないことなどから、外部への情報漏えいの蓋然性は極めて低いと考えている」と説明。
「仲介補助簿は紛失分も電子データで復元し、仲介補助簿以外の書類も併せ、法令上の問題からお客様にご迷惑をお掛けすることはないものと考えている」と釈明している。
同社は紙で作成・保存すべき書類が膨大なことなどが失態の背景にあると強調。仲介補助簿の電子化や保存書類の削減、ペーパーレス化などの対応を進める方針。
(藤原秀行)