スイス~神戸間で-60℃維持し医薬品輸送に成功

スイス~神戸間で-60℃維持し医薬品輸送に成功

日新とスズケングループ、IoT機器とパナソニックの真空断熱保冷ボックス使い実証実験

日新は2021年12月29日、スズケングループと共同で、パナソニックの真空断熱保冷ボックス「VIXELL(ビクセル)」を使い、高品質な輸送品質が求められる医薬品の国際輸送を想定した輸送実験を実施したと発表した。

実験は21年9月に実施。VIXELLのLサイズ 1台、Sサイズ 1台の計2台と日新が導入を検討しているIoT機材を組み合わせ、スイスのバーゼルからスズケンの阪神物流センター(神戸市北区)まで届けた。

VIXELLの容器内温度をドライアイスでマイナス60度以下に設定。親機に国際ローミング可能なSIMを挿入し、センサータグをVIXELLの外面ポケットに設置して、測定ポイントを通過する際に温度を計測した。VIXELLの温度維持能力と、海外や国内のIoT通信とタグのセンサー機能(温度、湿度、照度、傾き、衝撃度、充電残量)を検証。国際一貫輸送の際の許認可・通関上の課題・問題点も洗い出した。

併せて、9~10月にVIXELLの保温機能の実験として日新の京都営業所(京都市下京区)で保管し、計測を継続した。

その結果、Lサイズは19日と3時間 、Sサイズは9日と12時間にわたりVIXELL内でマイナス60度の保持に成功。センサータグが計測したデータがスイス、ベルギー 、日本の各ポイントから通信網を通じてクラウドに送られ、スズケンの阪神物流センター到着前にセンサー情報をインターネット管理画面で確認した。

併せて、事前に税関と相談した結果、VIXELLを「通い容器」として申告し、免税で輸入許可を得ることもできた。

今回の実証輸送の結果はパナソニックのVIXELLに関するウェブサイトで1月上旬に公開するとともに、3社の実証実験で得た知見やノウハウを活用し、医薬品業界のニーズに沿った国際物流の実現に向けて取り組む予定。


輸送の流れ(日新プレスリリースより引用)

(藤原秀行)

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