【現地取材】GROUND・宮田CEO、独自の倉庫運用管理システムで欧米進出目指す考え表明

【現地取材】GROUND・宮田CEO、独自の倉庫運用管理システムで欧米進出目指す考え表明

国内は27年までに物流拠点1000カ所採用を目標に

GROUNDは4月16日、東京都内で記者会見し、今後の事業戦略などを説明した。

同社の宮田啓友社長CEO(最高経営責任者)は、同社が主力としている物流施設のロボットや自動化機器を統合的に管理し、稼働を最適化する独自のWES(倉庫運用管理システム)「GWES(ジーダブリューイーエス)」に関し、大手物流企業などが相次ぎ採用している事例を報告。2027年までに採用される物流拠点を1000カ所まで増やしたいとの考えを示した。

 
 

併せて、海外でも物流の自動化ニーズが高まっているのを受け、2030年以降、本格的に欧米でGWESを提供していくことに強い意欲を見せた。


事業戦略を語る宮田CEO

宮田氏は、2016年にインドのロボットベンチャーGreyOrange(グレイオレンジ)と資本・業務提携し、商品を納めた棚を持ち上げてピッキング作業エリアまで運ぶ「GTP」タイプのロボットの提供を日本で始めたことなどを回顧。

「単に物を提供するのではなく、物流のオペレーション、仕組み、構造そのものを変えていき、プラットフォームしていく」と述べ、ロボットの提供からさらに一段レベルを上げ、倉庫内作業の業務進捗を可視化して最適化をサポートするシステムの展開に注力している姿勢を強調した。

その一環として22年以降、GWESの提供に注力していることに言及。当初は単体の物流拠点で運営の可視化・最適化を後押ししてきたが、24年以降は複数拠点で包括的に運営を可視化・最適化する方向に進んでおり、さらに30年以降は企業間で入出荷などのデータ自体を共有できるようにして業界全体で物流を変革するとの構想を明らかにした。


(GROUND資料より引用)

 
 

「まず顧客の基幹物流拠点にGWESを実装し物流現場を可視化・最適化できる環境を整備していくことを推奨している。その後に全国のセンターに水平展開していくことを数年かけて実現していく。ある企業の中では1つのプラットフォームで物流センター全体を管理できるようになる」と言及。

導入の一例として、花王が40超のサイト(物流拠点)でGWESを活用していることを紹介。日本通運も同じくサイトでの採用を広げているという。

GWESの普及については25~27年の3カ年で計画を立てており、採用するサイトを1000まで高めていく方針を盛り込んでいることを明かした。海外展開については「米国のパートナー企業数社と協議している。欧州も考えている」と述べた。

同席したGROUNDの品川竜介執行役員ソリューション本部長は、製造業の物流現場でGWESの活用により常時90%以上の作業量予測精度を達成したり、卸売業で人員を増強せずに庫内作業の生産性が10%以上高まったりした事例を引用した。


宮田CEOと品川執行役員

(藤原秀行)

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