(師走の番外編)
①『ブルックリンでジャズを耕す 52歳から始めるひとりビジネス』
(大江千里著、KADOKAWA)
言わずと知れたポップミュージック界のスターは、47歳で憧れのジャズの道に飛び込んでいた。米国の音楽大学を卒業後、独自のレーベルを創設。52歳にして異国の地でプロのジャズミュージシャンとして活動を本格化させた足跡を振り返る奮闘記だ。「変化を恐れるな。孤独を楽しんで。前へ前へ」。年齢を言い訳にして逃げたりせず、自ら新たな道を切り開いていく生きざまがとてもまぶしい。(1800円)

②『合成生物学の衝撃』
(須田桃子著、文藝春秋)
タイトルにもなっている耳慣れない「合成生物学」とは、実は地球上に存在しない新生物を人工的に作り出そうとする衝撃的な学問分野だった!毎日新聞の科学記者が米国を中心に最前線を紹介。既にコンピューターでDNAを設計した全く新しい人工生命体が誕生しているという。先端科学が持つ可能性と倫理面で十分な議論がなされずに研究が進んでいく危うさを描き出した労作。(1500円)
③『がんになった親が子どもにしてあげられること』
(大沢かおり著、ポプラ社)
もはや2人に1人ががんになる今、“Xデー”が訪れたらわが子にどう伝えればいいのかを考えておく必要がある。自身もその経験を持つ専門家が留意すべきポイントを懇切丁寧に記した貴重な解説本だ。子どもは大人が思っているほど幼くはなく、きちんと話せば理解してくれると指摘。子どもにとっても「人生の困難を乗り越える力を養い、精神的に成長できるチャンス」との前向きな言葉に救われる。(1300円)
(藤原秀行)