トラックドライバー対象の「改善基準告示」見直し、労使で主張が平行線

トラックドライバー対象の「改善基準告示」見直し、労使で主張が平行線

審議会作業部会が議論本格化、1カ月当たり拘束時間などでことごとく対立

厚生労働省は1月21日、東京都内で、労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会のトラック作業部会を開き、ドライバーの労働時間などを規制する「改善基準告示」の改正に向けた議論を本格化させた。

長時間労働の抑制に向け、焦点となっている1カ月当たりの拘束時間や1日当たりの休息時間、連続運転時間などに関し、経営側と労働側の主張はことごとく対立、平行線のままだった。

作業部会は今年7月ごろをめどに、告示改正の具体的な内容を取りまとめる方針を示しているが、意見集約には相当の困難が予想される。


トラック作業部会

作業部会では、各見直し項目の議論を本格化させるのに当たり、経営側と労働側、公益側(有識者)の各委員が意見を述べ合った。

1カ月当たりの拘束時間は現在の293時間を維持すべきだとする経営側と、275時間に短縮すべきだと主張する労働側で意見がかけ離れた。

1日の休息時間は、現行の8時間から労働側が11時間を中心に再検討すべきだと主張したのに対し、経営側は取り扱う荷物の種類や業務の形態別に異なる基準を設けるべきであり、それができないのであれば現行水準を維持せざるを得ないとの見解を示した。

1日の拘束時間が原則13時間、最大でも16時間と定めている点に関しては、経営側が宿泊を伴う運行の場合、18時間とするなど、業態別に運行実態などを踏まえて修正することを提案。これに対し、労働側は「限定的な取り扱いでも18時間は認められない」と反発した。

運転時間は「2日平均で9時間、2週平均で1週当たり44時間」の現行規制については、労働側が現状維持を求めた半面、経営側は「業務簡素化の観点から、拘束時間や休息期間の管理があれば運転時間の管理は不要」との意見を表明した。

(藤原秀行)

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