外部施設への供給も視野、冷凍・冷蔵対応やデータセンター開発に注力表明
ESRのスチュワート・ギブソン代表取締役は2月3日、横浜市金沢区幸浦で竣工したマルチテナント型物流施設「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター(DC)1」のメディア向け内覧会の際、記者会見した。
ギブソン氏は今後の事業展開として、先進的な物流施設と併せて、需要が伸びているデータセンターの開発や冷凍・冷蔵倉庫対応に注力する方針を表明。加えて、脱炭素化の潮流が強まっているのを踏まえ、物流施設で再生可能エネルギー由来の電力活用を促進することに強い意欲を示した。
会見後の撮影に応じるギブソン氏
ギブソン氏は、社会がデジタル化していく「ニューエコノミー」が広がることに伴い、データセンターの需要がさらに伸びていくと展望。「モダンなDC(物流施設)とデータセンターを両輪で考えていく」と述べた。冷凍・冷蔵倉庫対応については、「ESR横浜幸浦DC1」の隣接地で建設中の物流施設「ESR横浜幸浦DC2」でも検討していると解説した。
また、「クリーンエネルギーのビジネスを考えている」と説明。物流施設に導入した太陽光など再生可能エネルギーを生かした発電設備で生み出した電力をテナント企業向けに提供するとともに、他の物流施設やデータセンターに供給することも視野に入れていることに言及した。さらに、蓄電池を取り入れ、太陽光など再生可能エネルギーによる発電量が変動しやすいことをカバーしていく構想も明らかにした。
建築資材の高騰が続いていることに関しては「昨年の7月ごろに価格が跳ね上がっているが、その後はやや安定している。コスト上昇分を賃料に転嫁するのはなかなか難しいのでフレキシブルに対応していきたい」と語り、工法の見直しなどでコスト抑制を図っていく姿勢を示した。
「ESR横浜幸浦DC1」で初めてトルコで製造された、ひび割れを抑制する構造を持つコンクリート部材「プレストレスト・コンクリート」(PC)を免震構造の要となる上部躯体の大梁・小梁に採用したことに関連し「トルコと日本は地震がよく起こるなど、似ているところが多い。自分は(トルコのPCメーカーを)とても信頼しているし、供給された製品は世界で最高品質のものと思っている」と評価。今後も自社で手掛ける物流施設にトルコ製PCを採用していくことに前向きな姿勢をのぞかせた。
「横浜幸浦DC1」「横浜幸浦DC2」に続き、幸浦エリアで計2棟を開発する計画を公表。いずれも延べ床面積は4万坪(約13万2000平方メートル)規模で、BTS型として開発する構想もあり、竣工時期は現時点で明確には決めていないという。
(藤原秀行)