【現場取材・動画】防波堤のひび割れ、ドローンが自動撮影して点検

【現場取材・動画】防波堤のひび割れ、ドローンが自動撮影して点検

国交省などが川崎港で実証実験公開、業務省人化目指す

国土交通省などは3月2日、ドローンを使って防波堤などの港湾施設を点検する実証実験をメディアに公開した。

実験は川崎港で実施。ドローンを使うことで、ひび割れといった経年劣化の有無などの点検業務を人間が行うよりも迅速かつ容易に行えるかどうかを確認した。海上で風が吹く中でもドローンが静止し、防波堤の表面の画像データを安定して撮影することができた。

国交省は開発を進めている、AIを駆使して画像データから建造物の劣化箇所を見つけ出すシステムと組み合わせ、全国各地の港湾設備管理の省力化を図ることを想定。早期の実用化へ引き続き民間事業者らと連携する方針。今後は物資輸送などの現場実証も行う予定だ。


防波堤の表面を撮影するドローン

実験はブルーイノベーションなども協力。まず、災害が起きた直後などに防波堤といった設備に異常がないかを調査する臨時点検を想定。護岸に近接している国交省関東地方整備局の首都圏臨海防災センターのバルコニーからドローンが自動で離陸、約2キロメートル離れた防波堤まで飛行し、搭載したカメラで撮影した後、再びバルコニーへ戻った。運航管理システムを使い、風があっても専用の離着陸設備「ドローンポート」からずれることなく無事に着陸した。

次に、港湾設備の劣化度をチェックする日常点検を想定し、ドローンが飛行しながら防波堤の表面を撮影。異なるメーカーの機体を投入して自動飛行と手動操縦を実施、ひび割れなどを検知できるかどうかをチェックした。

最後は風が強くなったり海面が光を反射したりして環境が厳しい中、首都圏臨海防災センターを飛び立ったドローンが岸壁に置いたドローンポートに掲載されているQRコードの情報を正しく認識し、自動的に着陸できるかも確認、成功した。


接近して撮影


自動でドローンポートに着陸

実験後、取材に応じた国交省総合政策局技術政策課の齋藤輝彦技術基準企画調整室長は「構造物に接近した撮影もこなしており、安心して飛ばせるように感じた。点検現場に活用できるのではないか」と期待感を示した。ブルーイノベーション事業開発部の柴﨑誠氏は「ドローン利用の場面を増やしていきたい」と述べた。

(藤原秀行)

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