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「目標達成やスケジュール厳守がプレッシャーに」

「目標達成やスケジュール厳守がプレッシャーに」

日野自動車不正行為発表会見 質疑応答(前編)

日野自動車は3月4日、日本市場向けのトラックとバス用ディーゼルエンジンの排出ガスや燃費に関する認証申請に不正行為があったことを確認したと発表した。

東京都内で同日開催した記者会見に小木曽聡社長と下義生会長が出席し、問題発覚の経緯などを語った。質疑応答の部分を掲載する。


日野自動車が開いた記者会見

米国で発生の問題調査が発覚のきっかけ

――不正行為発覚の経緯を聞きたい。2020年12月に、エンジンに問題があるということで米工場の生産停止を発表したが、その話と関係があるのか。
下義生会長
「最初は社員が、米国の法規は大変詳細にわたったものがあり、それと照らし合わせて、われわれの認証のステップが確かなものかということで、最初その部分に気付いた社員がいた。これは法規の理解ということもあるので、米国の弁護士を起用し、社内でそのあたりの調査を進めた。その中で課題が見つかり、随時米当局へ報告している。現在も米国については、まだ調査中。司法省からの調査も始まっているので、詳細について今日ここでコメントは差し控えるが、まずそういうことがあった」

「米国の工場が止まった件は、エンジンのモデルイヤー認証を米国では行っている。私ども、認証の課題が見つかった中で、当局の指示に基づいて様々な対応をしていく中で、結論から申し上げると、この課題と米工場が止まった、もしくは自社のエンジン供給を断念したことに関係はない。様々なリソースを今後のことに集中していく中で、米国については既に生産開始したが、他社製エンジンを搭載して、ディーゼルはそうしていくべきだ、また今後も様々な電動化があるので、米国についてはそういう判断をした」

――社員が米国で最初に、問題に気づいたのはいつか。
下会長
「18年11月だ」

――不正行為を確認した車両の出荷停止で影響を受ける台数はどの程度か。
小木曽聡社長
「ニュースリリースに出荷停止の台数を参考で記載させていただいている。年間でいくと約5万2000台。国内の販売台数の35%くらいが出荷停止の対象台数。リリースの最期に累計の登録台数がある。市場の措置が必要な『A05C(HC-SCR)』は、今後しっかり精査していくが、対象台数は4万3000台くらいだ」

――経営陣として不正はいつごろ認識したか。不正はそれぞれいつごろから始まったのか。
下会長
「今日、リリースで報告したように、現在生産・販売しているモデルについて、私どもとして(不正行為を)認定したのは直近の2月末。米国でそういう課題があったので、自ら総点検という形で国内認証についても調査を始めた。米国と日本は法規も違うし、認証ステップも若干違うということもあって、それでも念のため調べたということ。特に今回、排気ガスで不正があった劣化耐久試験は大変長く時間がかかる。世の中で走行いただくある程度の距離を信頼性のある排ガスの数値の中に収めるということで、エンジン性能の再確認を行ってきたのが、まさに劣化耐久試験の、自社の中で再試験をした。これが21年4月。全機種の劣化耐久試験、これは中型のエンジンで7カ月ほど、大型のエンジンで9カ月ほどかかる試験なので、そういう試験も併せて、われわれが確認をした結果、今年2月の時点で不正を確認した」

「燃費は、排ガスの確認をしていく中で、併せて燃費についても確認し、これは初期的に課題がありそうだと認識したのが21年の11月。それ以降、3カ月強の中で、具体的な不正の内容について確認を取ってきた」

――不正の背景に数値目標達成やスケジュール厳守へのプレッシャーへの対応が取られなかったことがあったと説明しているが、担当社員からは具体的にどのような話が出ているのか。
小木曽社長
「リリースの中でもご説明しており、繰り返しになるかもしれないが、排出ガス性能の『A05C(HC-SCR)』については、認証の劣化耐久試験の中で、排ガス性能は耐久とともにだいぶ悪化してきて、このままだと規制値に入らないとうことを認識し、(試験の途中で)部品を交換してしまったとのこと。やはり性能を満たさないことを知りつつ、交換したということなので、認識をして交換した、そういう意図があったと理解しているので、重く受け止めている」

「燃費についても、目標に届かない中で、燃費流量計の構成値を変えることによって、実力よりも良い燃費値にしたということで、同様に問題だと思っている。背景として、やはり目標を必達にするとか、リードタイム(の余裕)がなかったといったことがあった」

――較正値の書き換えについて詳しく聞きたい。
小木曽社長
「燃料の流量計は当然、燃料の流量を計測する機械だが、たいてい、キャリブレーションとして較正する係数がある。これはしっかり検定して、所定の数値を入れることで正しく測ることができる。その係数が補正され、燃費が良く見えるような形で認証試験を受けてしまったということだった。しっかりこういった部分についても管理とか、どういう組織を運営していくとか、再発防止策をしっかりと取っていきたい」

開発と認証が同一部門内で仕事をしていた

――中型、大型エンジンがそれぞれ排出ガスの規制値をどの程度超過しているのか。大型エンジンは燃費性能がどの程度、条件を満たしていないのか。現場のチェック体制がこれまでどういうものになっていて、なぜ今回機能しなかったのか。
小木曽社長
「中型エンジンが排気ガス規制値を満たさない可能性がある。これは中型エンジンだと、法規認証の試験上では試乗の45万キロメートルを満足させると、そこで所定の既定値を満足させることに対して、試験ではばらつきがあるので、あらためて再確認の試験をした上、ばらつきによっては少しそれを満たさない。逆に言うと、新車は全て出荷時の検査をしているが、出荷時は規制値を満足させていて、長くお使いいただいている時に規制値を少し満たさないということなので、なるべく早い段階で、今月内にめどを立てるくらいで、市場の対応策を考えたい」

「エンジンはA09CとE13Cがさまざまなカテゴリー、トラックとバスの両方に使われているので、セグメントによって随分ばらつきがある。正直に申し上げると、優遇税制を受けている数値に影響がある、数%レベルの違いがあり、これについては型式ごとに異なるので、今後しっかり精査して、明確にして、お客様にご説明するなど、税制優遇に関連した部分については納税させていただくことを考えている」

「現場のチェック体制については、認証試験なので現場の管理がとても大切と認識しているが、この問題が発生した時期では、しっかり管理しないといけないが、開発部門と認証データを取る部門が一つの部門の中で仕事をするという枠組みだった。やはりその部分は、再発防止という意味では、これからもっと調査していくが、少し反省すべきところだったと思う」

「われわれは調査を少し前から始めていたが、21年4月から、エンジンの性能開発をする部門と認証データを試験して取る部門を分けて、認証データを取る部分は品質本部の中に違うメンバーで構成して、やるようにした。本日ご報告させていただいた、新たに試験を確認している内容については、全て21年4月から始めていて、新しい本部体制の中でやっている。また、再発防止に向けてはもっと信用を追求しなければいけないと思っているので、外部有識者による特別調査委員会の調査結果も踏まえながら、しっかり対策していきたい」

――販売店の方々が、メカニックの担当の人も含めて、自信をもって商品を売ることができるようになるため、ディーラーをどうケアしていくか。
小木曽社長
「今回のような不正行為を行った事実が判明したので、お客様に向き合って正直にしっかり対応していくことが一番だと思うし、ご指摘の通り、お客様と直接向き合っていくのは販売会社の方々。ここは非常に大切だと思っている。実際には、今回公表した内容も全て販売店にお話をするし、おそらく販売店がお客様と会話する中で、これだけでは分からないようなご質問や、これに基づいて追加の要望とかがたくさんあると思う。会社の中は、この問題に対して全社の最優先課題ということで、リソースを全て集めて、お客様、販売店に向き合って、1つ1つ、まずおわびをして、事実をお伝えして、ご質問にお答えして、ご要望に一つ一つ丁寧に正していく。そして何よりも大切なのは、これからこういった、認証にまつわることから安全品質に至ることまで含めて、しっかり、よりお客様の声に向き合って販売会社と一緒にやっていくことかなと思う。特に秘策はないが、一つ一つ社員全員でやっていきたい」

――不正は今回発表のものだけなのか。問題があったエンジンの搭載台数を再確認したい。
小木曽社長
「総点検をして分かったことを今回、なるべく早く、ということで処置につながったということで、本日、事実をお伝えしている。これからも一点一点、調査は継続していくので、もし新たに判明することがあれば、また逐一対応していく。現在分かっていることは今日ご説明した内容だ。リリースにある数の累計だ」

――さかのぼるといつから不正行為をやっていたと認識しているのか。4つのエンジン以外は不正行為が確認されなかったということでよいのか。
小木曽社長
「ご指摘の通り、4つの型式以外は、問題は確認されていない。いつからかについては、平成28年排出ガス規制、今販売されている車両について、とにかく、全機種について調査をしたのが今回の報告内容なので、さらに過去のものはどうかといったことについても引き続き、総点検を続けるし、本当に組織等々含めて、再発防止という意味では、特別委員会の調査も併せて、しっかり検証していきたい」

――今の時点では、平成28年の時点が不正行為確認できている最初の時期という認識で良いのか。
小木曽社長
「理解としては正しい。われわれもまず、現行販売しているエンジン、平成28年排出ガス規制のものを中心に、全面的に調査して、先ほどもご説明した通り、排ガスの劣化耐久試験は時間が掛かるので、今ここまでの確認が終わったというのが正直なところだ。さらに調査を進めていく」

(中編に続く)

(藤原秀行)

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