セイノーHDとエアロネクスト、山口・美祢市でドローン物流の実証実験

セイノーHDとエアロネクスト、山口・美祢市でドローン物流の実証実験

名水で淹れたコーヒーとニジマス使った特製ハンバーガー配達

セイノーホールディングス(HD)とエアロネクストは3月8日、山口県美祢市でドローン物流の実証実験を行ったと発表した。

同市の協力を得て、エアロネクスト子会社でドローン配送を手掛けるNEXT DELIVERYも参加し、3月3~5日に実施した。セイノーHDとエアロネクストは、ドローンなど先進技術を活用し、地域の物流ネットワークを維持する新スマート物流「SkyHub」の構築を進めており、今回の実験もその一環。

今後は新スマート物流の構築に向け、住民を対象としたニーズや最適な物流網の在り方を調査、検討した上で、将来的な構想として各社の荷物などを集約化するドローンデポとドローンの着陸地点となる複数のドローンスタンドを設置し、地上配送と将来のドローン配送を想定した買物代行サービスについて段階的に開始する予定。

実証実験は、官民連携フォーラム「デジテック for YAMAGUCHI」の会員同士が技術やノウハウを持ち寄り、山口県内をフィールドとした実証実験などを展開、新たなソリューションの先導的事例創出を目指す「デジテック・オープンイノベーション」に提案、採択された。

美祢市は小規模な集落が広く点在し、商店や飲食店も少なく、人口の4割強を高齢者が占めるなどの理由で、日常の買い物など生活利便性の維持が求められている。運送業界においては、人手不足や採算性から特に過疎地域における配送維持が課題となりつつある。

セイノーHDとエアロネクストは物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムを導入することを目指している。買い物代行や災害時支援、医薬品配送などを行える仕組みを構築、課題の解決を目指す実証実験に民間企業と行政が協働して取り組むことを促進している。

今回の実験は、秋芳八代ぬくもりの里を仮設の「ドローンデポ」(専用の商品ストックポイント)に設定。最寄りの集会所(栢木公会堂・八代ふれあいセンター・半田公会堂)を仮設の「ドローンスタンド」(専用の受け取り場所)としてドローン配送を実施した。地元住民に市内スーパーの食料品の詰め合わせセット、日用品、防災用品などを空輸した。

3月3日の報道関係者への公開では、秋芳八代ぬくもりの里から片道約2.1キロメートル先の半田弁天へ向けてドローンが約5分で飛行。機体には住民がペットボトルに採水した、名水で有名な半田弁天湧水を搭載し、秋芳八代ぬくもりの里まで飛行して持ち帰った。

その後、秋芳八代ぬくもりの里で待機したキッチンカーを使い、持ち帰った名水で淹れたコーヒーと、「日本名水百選-別府弁天池-」の名水で育ったニジマスを使った、ますバーガー」のセット2人分を箱に入れ、仮設のドローンスタンドの一つ、栢木公会堂まで片道約1.2キロメートルを約3分でドローン配送し、住民の手に届けた。


美祢市の半田弁天湧水を積み込み飛び立つエアロネクストの物流専用ドローン(半田弁天脇)


ドローンで届いた名水で淹れたコーヒーをキッチンカーから預かるSkyHubスタッフ(秋芳八代ぬくもりの里)


美祢市八代地区を飛行するエアロネクストの物流専用ドローン


名水で淹れたコーヒーとますバーガーの入った箱を届けて飛び去るドローン(栢木公会堂前)


ドローンで届いた名水で淹れたコーヒーとますバーガー2セット


ドローン配送された名水で淹れたコーヒーとますバーガーを受け取った住民(栢木公会堂前)

(藤原秀行)

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