国交省、川岸から中学校校庭まで650メートルを自動飛行に成功
国土交通省は3月8日、東京都江戸川区で、民間事業者らと連携し、ドローンを使った物資輸送の実証実験を行った。
国交省は2月以降、管轄している現場でドローンをインフラ点検や物資輸送などに投入、実用化に向けデータ収集や技術の検証を図る実験を続けており、今回もその一環。
人口が密集し、安全性が特に強く求められる都市部でドローンによる物資輸送を実施。江戸川区の周辺道路が災害で使えないケースを想定し、空からペットボトル入りのミネラルウォーターを届けた。今回は飛行ルートに補助者を置いて万が一の事態に備えた上で、目視外の自動飛行とした。
実験に使ったドローン
実験は国交省が同区内の荒川に設けている、災害で陸路が使用不可能な場合に備えて川岸で資機材や救援物資を積み降ろしできる「緊急用船着場」から、隣の中川を超えた向かい側にある江戸川区立清新第一中学校の校庭まで約650メートルをドローンが自動で飛行。国産メーカーのドローン2台をそれぞれ使い、物資を運んだ。
校庭に自動で着陸するドローン
ドローンは船着場を離陸後、首都高速道路の高架下をくぐり、人の通行が少ない川沿いの道の上空を通って2台とも校庭に無事着陸した。この日の実験は国交省の渡辺猛之副大臣が現場で離着陸の様子を視察した。
周辺には高圧電線などの障害物が多く、GPSなどの衛星測位システムが使えない場所がある中、安定的かつ安全にドローンが飛行できるかどうかをチェックした。国交省は今後、実験を重ね、物流領域でのドローン活用を後押ししていきたい考えだ。
現場を視察する渡辺副大臣(右)
江戸川区の担当者から届いた物資を受け取る渡辺副大臣
(藤原秀行)