ロシアのウクライナ侵攻で建築コスト上昇影響を予想

ロシアのウクライナ侵攻で建築コスト上昇影響を予想

不動産協会・菰田理事長が指摘、日本の物件への資金流入の可能性も展望

不動産協会の菰田正信理事長(三井不動産社長)は3月11日、東京都内で開いた理事会後の記者会見で、ロシアのウクライナ侵攻が日本の不動産分野に及ぼす影響について、国際物流の混乱に伴う輸送費増大などでオフィスビルやマンション、物流施設といった建物の建築コストが上昇することが見込まれると指摘した。

同時に、海外の投資家が安全な資産として、日本の不動産に資金を一時的に移す可能性があると展望した。

菰田理事長は「(デベロッパーが)今工事を発注しているものはほとんど資材を調達済みで単価は上がっていない。しかし、半年後、1年後に発注している物については建築コストが上がってくることは容易に想像できる」と分析。

マンションなど住宅に関しては価格が上昇傾向にあるため、建築コスト上昇分を売値に転嫁できるかどうかは微妙で「土地(購入費用の)負担力が減り、若干供給が減ることが想定される」との慎重な見方を示した。

一方、投資の面では「これだけの大きな地政学リスクが顕在化するのは、第2次世界大戦後初めてではないかと思うが、日本の不動産が安全資産と認識されてきたことは過去にもあり、一時的に投資資金が流れ込むことはあり得る」と語った。

また、同日の理事会で決定した2022年度の同協会事業計画を発表。企業が事業活動から出る温室効果ガスを減らすため再生可能エネルギーの活用などを進める「GX(グリーントランスフォーメーション)」の推進に向け、建築物での再生可能エネルギー利用促進を後追いする施策を積極的に検討することなどを盛り込んだ。

(藤原秀行)

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