配送や入出荷を「自律的に最適化するサプライチェーン」実現にあらためて意欲

配送や入出荷を「自律的に最適化するサプライチェーン」実現にあらためて意欲

パナソニックコネクト・樋口社長兼CEOが会社発足会見で表明、ブルーヨンダー軸に日本市場開拓

パナソニックが4月1日付で持ち株会社体制へ移行したのに伴い新たに発足した、製造業や物流業の現場業務効率化支援などを手掛けるパナソニックコネクトは4月4日、東京都内の本社で記者会見し、今後の経営戦略などを説明した。

同社の樋口泰行社長兼CEO(最高経営責任者)は、昨年9月に買収が完了した米国の製造業・流通業向け業務効率化支援ソフトウエア大手ブルーヨンダー(旧JDAソフトウエア)を軸として、米国と同様に日本でもサプライチェーンの自動化・運営最適化支援に一層注力していく方針を表明。

人手不足などで製造・物流現場の自動化・省力化ニーズが高まっているのを踏まえ、工場の稼働具合や在庫の数量などの状況変化をリアルタイムで把握、配送や入出荷を自動的に効率化・最適化していく「オートノマス(自律的な)サプライチェーン」の実現にあらためて強い意欲を見せた。

併せて、ハードウエアを活用して工場の製造ライン効率化などを図るコア事業について、溶接機や半導体の実装機、航空機の座席に取り付けるモニター、放送機器といった製品群を今後も重視する方針を示した。

2024年度に売上高を20年度実績の8180億円から約4割増の1兆1700億円に、EBITDA(利払い・税引き・償却前損益)を121億円から約12倍の1500億円までそれぞれ高めることを目指す考えを明示した。


会見する樋口氏

M&Aも積極的に検討

パナソニックコネクトは、パナソニックの社内カンパニーだったパナソニック コネクティッドソリューションズ社などの事業部や企業を集約して発足した。

樋口社長は成長領域への投資集中と並行して、通信衛星サービスを手掛けるグループ企業の売却、中国の工場閉鎖、電話交換機事業の終了なども進め、収益改善を加速させる計画に言及。ブルーヨンダーについては、ソフトの売り切りからSaaS契約への移行を進めるとともに、M&Aにも積極的に取り組むと解説した。

また、樋口氏がブルーヨンダーの日本法人会長を兼務するなど、日本市場開拓に本腰を入れていくスタンスを強調。ブルーヨンダーのソフトはパナソニックグループの製造拠点などでも積極的に活用していく方針を明らかにした。樋口氏は「ブルーヨンダーとパナソニックグループのシナジー創出が大きく期待できる」と語った。

併せて、研修プログラムの拡充やグローバル規模での人材育成などを促進。人材開発投資の規模を21年度から4倍に拡大していくとアピールした。基幹職に女性が占める割合を21年の5%から35年には30%まで引き上げることなどにも触れた。


撮影に応じる(左から)パナソニックコネクトの樋口社長兼CEO、原田秀昭取締役執行役員上席副社長兼CSO(最高戦略責任者)、榊原彰執行役員常務CTO(最高技術責任者)(写真はいずれもパナソニックコネクト提供)

(藤原秀行)

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事