アクセンチュアが顧客体験向上へ積極導入アピール
アクセンチュアと子会社でデジタルマーケティングを手掛けるアイ・エム・ジェイ(IMJ、東京)は1月21日、東京都内で、企業のマーケティング戦略を担う「CMO(最高マーケティング責任者)」の役割変化に関するグローバル調査結果のメディア向け説明会を開催した。
両社の担当者はマーケティング統括という従来の役割からさらに踏み込んでいくことが求められていると指摘。具体的な姿として、自社内の関連部門や外部のパートナー企業をうまく連携させて接客や情報提供などを拡充、ユーザーが商品やサービスを使った際の満足感などを指す「顧客体験(カスタマーエクスペリエンス、CX)」を高める“コラボレーション主導型”に移行していくことが求められているとの見方を示した。
さらに、CMOの設置自体がまだまだ進んでいない日本企業も同様の取り組みを進めるようアピールした。
「『2段階遅れ』の日本こそCMO職種設置が必要」
調査は2018年7~8月、米国と英国、カナダ、ドイツ、オーストラリアの5カ国でマーケティングの意思決定を担っている上級役職者250人を対象に実施。併せて、10人に詳細な電話インタビューを行った。
その結果、調査協力者の8割強が、従来型の顧客体験では商品やサービスのユーザーを満足させることができないと回答。そうした事情を踏まえ、CXのレベルをアップさせる上で「CMOには事業部門間をつなぐ役割がある」と認識している割合は90%に達し、当事者間の“コラボレーション”の役割が重視されていることをうかがわせた。
IMJの山本崇博執行役員は「調査の結果、CMOはもはや広告宣伝だけでなく、新たな役割を求められていることが明らかになった」と強調した。
調査結果を解説する山本氏
一方、日本について、アクセンチュアのデジタルコンサルティング本部でマネジング・ディレクターを務める望月良太氏は、そもそもCMO不在の企業が依然多いことに触れ、グローバルの実情に比べて「2段階遅れている」と表現。
その背景として、良い物を作れば売れるという“プロダクトアウト”志向がいまだ根強く社内でマーケティング部門の地位が低い点などに言及。今後消費者のニーズがより細分化していくと見込まれる中、「日本企業のマーケティングも(部門ごとではなく)全社最適化の視点が必要。日本こそCMO職種を設けるべきだ」と力説し、“コラボレーション主導型”が有効と自説を展開した。
CMO導入の必要性を訴える望月氏
(藤原秀行)