高速道路で実施、規制標識の変化把握目指す
ゼンリンと自動車関連のITサービス開発を手掛けるMobility Technologies(MoT)は5月10日、ドライブレコーダーのデータを基に地図と実際の道路情報の違いをAI技術などで自動的に発見、地図を更新する「道路情報の自動差分抽出プロジェクト」の試験運用を今年4月、全国の高速道路を対象に開始したと発表した。
規制標識の変化を自動で見つけ出せるかどうかを確認する。
高速道路の規制標識を画像認識し(左)、地図上の該当箇所(右)と比べて差分を検出する(以下、いずれも両社提供)
同プロジェクトは2020年4月に開始。高鮮度な大量の道路情報データはMoTが展開する次世代AIドラレコサービス「DRIVE CHART(ドライブチャート)」で収集している。現在は全国3万台以上のタクシーやトラック、営業車が契約しており、全国の高速道路の総距離約3万キロメートルの約9割を1カ月で走行する網羅性を有している。
例えば高速道路上のLED式速度制限標識は、LEDの点灯周波数とドライブレコーダーの撮影周波数の関係でLEDの数値が映像に映らない瞬間があり、AIによる数値の読み取りが困難。MoTはこうした課題に対し、映像中で検出した標識を追跡し、LEDの数値がはっきり見えるタイミングを自動的に選ぶことで、97%以上という高い読み取り正解率を達成している。
LED式の速度制限標識の数値は映像に映らない瞬間があるが、適切な瞬間を選ぶことで読み取りが可能
今後は対象を一般道路にも拡張していくほか、道路標識以外の走行領域やレーン、道幅、矢印ペイントの情報も取得していく方針。特に道路内の車両走行可能な範囲を示す情報は、今後の自動運転時代に必要不可欠なため、収拾に注力する構え。
走行領域・レーン
道路の幅
矢印ペイント
(藤原秀行)