三井倉庫HD、DX推進や物流施設開発など成長領域に5年で1000億円投資へ

三井倉庫HD、DX推進や物流施設開発など成長領域に5年で1000億円投資へ

新中計公表、営業収益は16%増の3500億円目標

三井倉庫ホールディングス(HD)は5月10日、新たなグループ理念と2022~26年度の5年間を対象とする新中期経営計画を公表した。

グループ理念として、Purpose(存在意義)は「社会を止めない。進化をつなぐ。」と明記。物流が備えている社会インフラとしての役割を果たしていくことに強い決意を示した。

Purposeを固めるための要素として、Vision(中長期的に目指す姿)は「いつもも、いざも、これからも。共創する物流ソリューションパートナー」と設定。

Values(価値観・行動指針)は、
PRIDE:社会を止めないことの責任と誇り
CHALLENGE:顧客視点と社会視点の、提案力と実行力で挑む
GEMBA:現場は原点であり、進化の起点であり続ける
RESPECT:多様な個を受け入れ、新たな価値を生み出す
――とまとめている。

一方、新中計は、「グループ総合力結集によるトップライン成長」「オペレーションの競争力強化」「深化を支える経営基盤の構築」の3点を成長戦略の柱に据えている。具体策として、ビジネスモデルを変革するDX、イノベーションを創出する「共創」、オフィスビルや物流施設の新規開発などに取り組む「事業アセット」、脱炭素などの社会課題解決に貢献する「ESG」を列挙。

期間中にDX推進や物流施設開発など成長領域にトータルで1000億円、既存施設維持なども含めた総額で1300億円を投資することを打ち出した。

グループで展開している3PLや保管、フォワーディング、ロジスティクス戦略・企画立案といった各機能を組み合わせ、多様なニーズに一貫して対応できる「統合ソリューションサービス」を拡大していく方針を公表した。

強みを生かせる領域として、EV(電気自動車)関連などの「モビリティ」、再生医療などの「ヘルスケア」、ホームセンターやアパレルなどの「B2B2C」に照準を合わせている。加えて、顧客の物流領域の温室効果ガス排出削減や災害などのリスク軽減をサポートする「サステナビリティ対応ビジネス」に注力することも提示している。

最終の26年度(27年3月期)の数値目標として、売上高に相当する営業収益を21年度(22年3月期)実績の3010億円から16%増の3500億円、営業利益を21年度並み(259億円)の230億円、営業キャッシュフローを231億円から30%増の300億円にそれぞれ伸ばすことを掲げている。

グループの温室効果ガスは、30年度に13年度比で50%減らす。従業員のエンゲージメント(所属する企業への愛着心や成長に貢献したいという意識)を向上させるため、有給休暇取得率70%、女性管理職比率15%、男性育児休業取得率30%などのKPI(重要業績評価指標)と目標を記している。

(藤原秀行)

新たなグループ理念と新中期経営計画はコチラから(三井倉庫HDホームページ)

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