完成車の拡充による納期短縮と生産効率化でドライバー不足にも対応
日野自動車は1月29日、全額出資子会社の架装メーカーであるトランテックスを通じて日野が茨城県古河市で保有・操業する古河工場内に架装工場を新設すると発表した。総投資額は約80億円で稼働開始は2021年を予定。シャシーから架装に至る工程を一貫して行い、完成車での販売・納入を拡充することで納期短縮と生産の効率化を図る。
トラックはメーカーがキャブ(運転台)、シャシーから荷台までを含む標準的な仕様を一括企画してディーラー経由で販売する「メーカー完成車」、メーカーがキャブとシャシーを設計・生産し、架装メーカーがユーザーの要望に合わせて荷台を設計・架装する「オーダー車」に大別される。しかし近年の旺盛なトラック需要と架装メーカーの能力ギャップなどから新車納期が1~2年と長引いており、買い替えを急ぎたいトラック運送事業者にとっては悩みの種となっていた。
日野は昨年10月に発表した「経営戦略2025」でユーザーのニーズに最適な製品をより早く提供する方針を掲げており、今件はこれを実現するための重要な施策・設備投資となる。新架装工場はトランテックスが事業主体となり、年間約6000台のウイングバン完成車と平ボディー完成車を生産。建屋面積は約1万5600平方メートルで稼働開始時点の従業員数は約300人を見込んでいる。
具体的な生産方針は主力製品のウイングバン標準車をベースにニーズの高い仕様をラインアップとして取りそろえ短納期で提供。日野とトランテックスの工場生産を連動させることで効率向上、さらに同じ敷地内での架装は拠点間の車両陸送も不要となるためドライバー不足解消にもつながるとみている。
稼働開始時点では現行のトランテックス製ウイングバン完成車の生産から始め、同年中に新ラインアップ製品の生産も開始する計画。新架装工場に生産拠点を移すウイングバン完成車以外は、従来通りトランテックスの本社工場(石川県白山市)で架装を行う。
(鳥羽俊一)