疾患で重大事故発生のリスク抑制、生活維持できなくなる事態回避も
関東を地盤に食品物流を手掛ける茨城乳配(茨城県水戸市)は7月13日、今夏から40歳以上の運転業務従事者(ドライバー)を対象に脳ドック検査制度を導入すると発表した。
日本ではここ数年、運転業務従事者の健康に起因する交通事故が相次いでおり、中でも健康起因による交通事故のうち、脳疾患が心疾患に次いで多いとみられる。脳疾患は突発的な意識障害が現れることが多く、重大な交通事故を引き起こす恐れがあるため、安全対策の一環として、脳ドック検査制度の導入を決定した。
物流業界では従事者の平均年齢が上昇しているのに伴い、年齢の高い世代に頻発しているとみられる脳疾患の発症リスクも高まっている。同社も10年前に比べて社内の平均年齢が約4歳上昇しており、安全対策を強化する必要に迫られている。
さらに、年齢の高い従事者が脳疾患で働けなくなり、生活維持が出来なくなる事態を防ぎたいという思いも脳ドック検査制度の導入を後押しした。同社は「今後も事故防止と社員の生活のために健康管理・健康対策により一層取り組んでいく」と説明している。
国土交通省も「自動車運送事業者における脳血管疾患対策ガイドライン」で、発症前に脳血管の異常を早期発見・治療するため、社内で脳ドックや脳MRI健診を活用するよう求めている。
(藤原秀行)