AIサービス手掛ける米シリコンバレーのパロアルトインサイト、リンガーハットと共同で緊急事態に対応する需要予測システム開発

AIサービス手掛ける米シリコンバレーのパロアルトインサイト、リンガーハットと共同で緊急事態に対応する需要予測システム開発

「自動発注アプリ」「店舗シフト管理アプリ」を実店舗でテスト運用開始

AI関連サービスを手掛ける米シリコンバレーのパロアルトインサイトは8月18日、長崎ちゃんぽん専門店やとんかつ店を展開するリンガーハットと緊急事態などに対応する需要予測システムを共同開発したと発表した。

同システムをベースとした「自動発注アプリ」と「店舗シフト管理アプリ」を千葉のショップス市川店、神奈川の川崎稲田堤店の2店舗で8月からりテスト運用を開始。2022年から23年にかけて、全国約700店の「リンガーハット」と「とんかつ濵かつ」で本格的に導入する予定。

需要予測システムを応用した店舗シフト管理アプリの導入により、新型コロナウイルス禍で変化した消費者需要の予測を実現するとともに、飲食業界が抱える人手不足や食品ロスの解決を目指す。


(パロアルトインサイト提供)

本システムは、消費者の需要を予測する従来のシステムに加えて、地震や台風などの自然災害、感染症のパンデミック(世界的感染)といったさまざまな緊急事態下で多様に変化する消費者の需要を、AIを活用して需要を予測する。これまでの販売実績や気象情報、地域に関する情報などのデータを基に、消費者の需要を予測し、適正な発注数の算出、在庫管理、出荷量予測、スタッフの配置を行う。

店舗ごとの発注量を詳細に予測することで、スタッフの管理が円滑に行えるようになり、将来は近隣店舗間でスタッフの最適なスケジュール組みなどを実施することで働き方の改善を実現したい考え。

リンガーハットでは2018年から売り上げを予測するAIシステムを開発・運用。これまでは過去3年分の売り上げデータをAIに学習させシステムを構築していた。今回、共同開発した緊急事態に対応する需要予測システムでは、過去3年分のデータを学習させるだけでなく、直近4~5日分の売り上げデータの変化がAIシステムに反映されるように改修することで、従来では難しかった、自然災害や感染症のパンデミックなどの緊急事態による需要の変化にも対応できるようになると見込む。

「自動発注アプリ」と「店舗シフト管理アプリ」の操作は、日付を選択するとその日の予測売り上げ金額と予測来店客数が表示される。需要予測は1時間ごとの需要予測を店舗ごとに行い、予測値に併せてそれぞれ最適な発注数やスタッフ配置が示され、食材の発注やシフト管理に役立てられる。属人的に行っていたシフト管理や需要予測をシステム化することで、業務の負担軽減や判断精度の向上につなげる。

(藤原秀行)

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