厚労省審議会、1日当たり休息は「勤務後継続11時間以上」へ努力が基本に
厚生労働省は9月2日、東京・霞ヶ関の同省内で、労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会のトラック作業部会を開き、ドライバーの労働時間などを規制する「改善基準告示」の改正案を提示した。
経営側と労働側双方の委員は改正案のうち、ドライバーの年間拘束時間や1日の休息期間などの主要項目で、厚労省が打ち出した方向性で大筋合意した。これまでの改正の議論では幹線輸送などで働き方に幅を残しておきたい経営側と、長時間労働を抑えたい労働側の意見対立が続いていたが、厚労省が双方の意見を折衷し、特例の規定を拡充するなどして対応、改正内容決定へ大きく前進した。
ただ、連続運転時間などの項目では労使間で意見の隔たりが残っているため、9月中にも開催する次回会合で最終的な案をあらためて確認することになった。
トラック作業部会の会合
焦点の拘束時間は原則として年間で3300時間、1カ月で284時間を上限に設定。同時に、例外として、労使が協定を結んでいる場合は1年のうち6カ月までは「年間の総拘束時間が3400時間を超えない範囲内で、1カ月の拘束時間を310時間まで延長できる」ことをうたっている。併せて、この場合は「284時間を超える月が3カ月を超えて連続しないものとし、1カ月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努める」ことを明記している。
現状の1カ月当たり拘束時間上限293時間、労使協定締結時は6カ月まで年間拘束時間3516時間を超えない範囲内で月320時間まで延長可能との規制内容を見直し、例外の規定を拡充した。
1日当たりの休息期間は、現行の「勤務終了後に継続8時間以上」から「勤務終了後、継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする」に修正し、ドライバーが継続してしっかりと休息できるよう規制を強化。
同時に、特例として新たに1週間の運行が全て長距離輸送(1運行当たり450キロメートル以上が条件)で、かつ宿泊が伴う場合は1週間に2回まで休息期間を「継続8時間」とできるようにする。この場合、一連の運行が終わった後、継続して12時間以上の休息を与えることを記している。
1日の拘束時間は、現状の「最大16時間」を「最大15時間」に変更。加えて、特例措置として、休息期間と同じく1週間の運行が全て長距離輸送で宿泊を伴う場合は2回に限って「最大16時間」とできるよう定めている。さらに、14時間を超える拘束の回数をできるだけ少なくなるよう努めることも規定している。
「連続運転時間」と「分割休息の特例」、「2人乗務時の特例」については、意見の相違が完全には埋まらなかった。
(藤原秀行)