ウェザーニューズ、物流や小売など法人向けにカスタマイズした専門気象情報をスマホアプリで提供

ウェザーニューズ、物流や小売など法人向けにカスタマイズした専門気象情報をスマホアプリで提供

長距離輸送時の安全ルート策定など対応

ウェザーニューズは9月28日、法人向けの新たな気象予測サービス「ウェザーニューズ for Business」の提供を同日開始したと発表した。

既に展開しているウェザーニューズのスマートフォン向けアプリを活用。法人専用ページを設けたり、強風や大雨の危険性などを速報するプッシュ通知機能を加えたりと、それぞれの法人のニーズに合わせてカスタマイズし、必要な専門の気象情報をスムーズに提供。災害発生時の早期復旧や確実な事業継続などを後押ししたい考えだ。小売や製造業、物流など幅広い業種へのサービス提供を目指す。

東京都内で同日開いた記者説明会で、ウェザーニューズの石橋知博取締役専務執行役員は大規模な災害が頻発している現状などを踏まえ「中長期的な気候変動も含めて、企業が全社のスタッフで気象に関するリテラシーを上げ、現場から業務を変えていく時代が来ていると思う。そうした動きを全力でサポートしていきたい」と語った。

新サービスの将来性に関しては「(企業向けの専門気象情報提供は)最低でも100億円くらいのマーケットはあるのではないかと思っている」と期待を示した。


説明会に登壇した石橋氏


アプリの基本画面を紹介する「ウェザーニュースLIVE」の高山奈々キャスター。ここからカスタマイズが可能

例えば、気象情報を基に小売店舗へ適切な商品発注をアドバイスしたり、工場に熱中症や落雷の危険性を通知したり、道路舗装や発電所の管理などをサポートしたり、ドローンを使ったインフラ点検などの作業が可能かどうか事前に天気を見極められるようにすることなどを想定。

物流に対しても、長距離輸送時に災害の影響を受けない走行ルートを設定したり、ラストワンマイル配送で悪天候時にスタッフの安全を守るため業務の中止・回避を判断する材料として気象データを集めたりすることで、業務をサポートできるとみている。企業の本社と現場がそれぞれ異なるルートで災害や天候の情報を入手するために統一した行動がなかなか取れない状態を解消できると見込む。

スマホに加え、より広い範囲の気象を俯瞰して見たい場合などはPC用の専用ウェブサイトで対応。雨雲・落雷のレーダー、土砂災害の危険度、鉄道運行、停電リスクといった多様な情報を準備する。


カスタマイズした専門情報の例


小売店舗向けの画面イメージ。気温の変化などを基に発注すべき商品を推奨している


ドローン利用サービス向けの画面イメージ。高度ごとの飛行の安全性を細かく表示している

同社はこれまでに2600以上の企業に気象リスク情報を提供する中で積み重ねてきた専門的なノウハウと、個人向けサービスで培ってきたモバイル端末用技術を連携させ、気象に左右されない事業運営を促進していくことを目指す。

新サービスの料金は1ID当たり月額980円からに設定しており、当初は30IDから申し込みを受け付ける。

同サービスを7月から先行して全国約230店舗で導入したホームセンター大手のカインズでは、9月の台風14号上陸を受けて店舗の営業を続けられるかどうかを決める際のデータなどに活用。本社の災害対策本部と現場が同一情報を共有できるため、意思決定と対策を迅速かつ正確に行えたという。


高性能の気象IoTセンサー「ソラテナ」

(藤原秀行)

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