日本郵船、アンモニア燃料供給船の基本設計承認を取得

日本郵船、アンモニア燃料供給船の基本設計承認を取得

3D設計技術を活用、単独での開発を実現

日本郵船は9月28日、開発中のアンモニア燃料供給船(Ammonia Bunkering Vessel、ABV)に関し、9月27日付で一般財団法人日本海事協会(ClassNK)から基本設計承認(Approval in Principle、AiP)を取得したと発表した。

同社によれば、ClassNKから海運会社単独でABVのAiPを取得したのは国内で初めてという。

同社グループは外航海運事業における温室効果ガス排出量削減の長期目標を「2050年までのネット・ゼロエミッション(実質ゼロ)達成」と定め、環境負荷の低いアンモニアや水素などの舶用燃料を使用するゼロエミッション船の投入を目指し、開発を進めている。今回AiPを取得したABVは、2020年代後半からの普及が予想されているアンモニア燃料船への燃料補給船として使用する予定。


証書授与式に臨んだ(左から)一般財団法人日本海事協会・松永 昌樹執行役員技術本部長、日本郵船・山本泰 工務グループ長

ClassNKのAiP取得に必要な各種図面作成は、日本郵船工務グループ内に21年10月1日付で新設したプロジェクトエンジニアリングチーム(略称PET)が担当。これまで造船所などで作成されていた設計図面をPETが独自で手掛けるとともに、通常は造船契約後の詳細設計段階に行われる、図面とひも付いた3Dモデルの作成を初期段階のコンセプト設計で導入する先進的な手法を用いた。

AiP承認の際のアンモニアによる危険場所や脱出経路に関するリスクアセスメント(Hazard Identification Study、HAZID)でより深い議論を実現し、アンモニアの毒性などに対して十分な安全対策を織り込んだ仕様を考案することが可能になった。同3DモデルはClassNKにおけるAiPの図面承認過程で、初めてその一部が2D図面の代替として使用され、開発プロジェクトにおける3Dモデルの役割を大幅に拡大させることに成功した。

また、ABVのコンセプト考案には、日本郵船が20年10月に運航を開始した国内初の液化天然ガス(LNG)燃料自動車専用船に加え、関連会社のセントラルLNGマリンフューエルが運航している国内初のLNGバンカリング船のLNG燃料供給体制から得られた知見を活用している。


アンモニア燃料供給船の3Dモデル

日本郵船グループはアンモニア・水素をはじめとする次世代燃料開発などのグリーンビジネスを通じた、低・脱炭素に向けた新しい価値創造の取り組みを対象としたESGブランド「NYK GREEN EARTH」を展開。今回の取り組みもその一環。

(藤原秀行)※写真はいずれもプレスリリースなどより引用

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