改善基準告示改正、「年間拘束上限3300時間」でトラック輸送能力12.7%不足

改善基準告示改正、「年間拘束上限3300時間」でトラック輸送能力12.7%不足

NX総研・大島氏が影響の試算公表、ドライバー最大12.2万人補充必要

NX総合研究所の大島弘明取締役は10月6日、国土交通と経済産業、農林水産の3省が開催した「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の第2回会合で、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」に関連し、厚生労働省の審議会で決まった改善基準告示の改正内容が物流業界に及ぼす影響の見通しを公表した。

改正に伴い、トラックドライバー拘束時間上限が年間3300時間となった場合、2020年度の輸送実績と比較すると輸送能力が12.7%、営業用トラックの輸送トン数は3.2億トン不足すると試算。ドライバーを最大で12万2492人補充する必要があると説明した。

特例として労使が三六協定を結んだ場合に認められる「年間上限3400時間」を適用しても、同じく20年度の輸送実績をベースにすると、輸送能力は5.8%、営業用トラックの輸送トン数は1.5億トン足りない見通しで、最大5万1260人を補充する必要が生じると見積もった。

大島氏は、荷待ちが発生している運行全体で荷待ち時間を2割減らすとともに、荷降ろしなど荷役に関しても全体の3割の運行で、時間を2割削減すると輸送能力不足の解消が見込まれると指摘。労働時間の短縮に向けた業務効率化が一層重要になるとの見解を示し、荷主企業にも努力を求めた。

試算は1日の最大拘束時間や1カ月当たりの拘束時間、休息期間などの要素は考慮していない。

(藤原秀行)

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