国交省が「ESG不動産投資のあり方検討会」初会合を開催

国交省が「ESG不動産投資のあり方検討会」初会合を開催

貢献度合いの情報公開促進など議論、6月めど中間取りまとめへ

 国土交通省は2月14日、東京・霞が関で有識者らによる「ESG不動産投資のあり方検討会」(座長・中川雅之日本大教授)の初会合を開いた。

 機関投資家らの間で投資対象を選定する際に重視すべき視点としてESG(環境・社会・企業統治)の理念が広まっていることや、国連が定めた「SDGs(持続可能な開発目標)」が注目されていることを踏まえ、国内外から継続的に投資を呼び込むため、日本の不動産投資市場でESGへの配慮を定着させる方策を検討。今年6月をめどに議論の中間取りまとめを行う。

 検討会は6月までに計4回程度開催する計画。今後は不動産ファンドや不動産会社などが投資している不動産がESGの領域に貢献している度合いを数値などで分かりやすく開示するための指針策定といった点が議論の柱となる見通しだ。

 物流施設でも近年は庫内労働力確保のため、カフェテリアなどのアメニティー設備を充実させたり、託児所を整備したりといった取り組みが広がっている。検討会の議論が、物流施設がESG投資先としてより注目される契機になるかどうかが注目される。

建物が災害や超少子高齢化への対応など必要と指摘

 検討会は国交省の土地・建設産業局不動産市場整備課が事務局を務め、大学教授やJリート資産運用会社の幹部ら7人が参加。オブザーバーとして日本ビルヂング協会連合会、不動産協会、不動産証券化協会も名を連ねている。

 初会合の冒頭、国交省の野村正史土地・建設産業局長は「ボーダーレス化が進んでいる不動産投資に関しては、海外投資家の目線を十分踏まえたあり方が必要。官民を挙げた取り組みを進めていきたい」とあいさつした。


検討会の初会合

あいさつする野村局長

 検討会では事務局が論点として、機関投資家らが不動産投資判断を的確に行うための情報開示などを提示。投資対象の不動産が災害対応や地域社会・経済への寄与、超少子高齢化社会への対応といった点で取り組みを進めることの必要性についても指摘した。

 協議する具体的ポイントとして、耐震性の向上や非常用発電機の導入、建物周辺の歩きやすさの確保、建物内への保育園併設といったことを想定している。

(藤原秀行)

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