流通経済研が報告、新たな物流の形構築目指す
流通経済研究所は10月17日、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム「スマート物流サービス」の一環として、大手コンビニ3社と連携し今年2月に実施した共同物流の実証実験結果を公表した。
店舗密度が都市部よりも低い地方部(北海道)でコンビニの配送センター間の物流共同化と、遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送共同化を展開。北海道の函館エリアで2月21日から1週間、両方の検証を行った。
このうち、配送センター間の物流共同化は、セブン‐イレブンとファミリーマート、セブン‐イレブンとローソンの2パターンで、札幌近郊の基幹センターから函館のサテライトセンターまでの横持ち配送に関する共同化の実証を実施。1便当たり、以下の効果があることを確認した。
新商品の発売タイミングなどでは、物量の増加によって既存のトラックでは運送力が不足してしまい、チェーンごとにトラックを追加手配していることがある。同研究所は今回の結果を踏まえ、そうしたイレギュラーな事態が起きている場合、今回の実証実験のようにセンター間の横持ち物流共同化で、負荷を抑えられると上記のような削減効果が期待できるとみている。
一方、物流効率があまり良くない遠隔地(買い物困難地域など)における店舗への商品配送共同化の効果測定については、以下のような結果が得られた。
函館南西エリアでコンビニ店舗配送を共同配送化したことで、チェーンごとに別々に配送する場合と比べて、“配送距離の短縮化”をはじめ、“CO2 排出量の削減”、“配送時間の短縮”などの改善効果を確認できたという。
今回の実証実験の結果も考慮し、同研究所はSDGsの視点も持ってコンビニ業界における新しい物流の形を、コンビニ各社とサプライチェーンを構成するステークホルダー全体で検討していきたい考え。
(藤原秀行)※写真は同研究所提供