GROUND、東京・江東区のダイアモンドヘッド物流拠点で公開
GROUNDは10月25日、EC物流のダイアモンドヘッド(東京都港区三田)が東京都江東区北砂の日本通運「北砂流通センター」内に構えているアパレルEC向け倉庫で、GROUNDが手掛けているピッキング作業効率化のAMR(自律型協働ロボット)「PEER(ピア)」のメディア向け内覧会を開催した。
PEERが実際に稼働している様子をメディアに内覧会の形で公表するのは初めて。
PEERは庫内でピッキングすべき商品が収められた棚まで自律移動。作業スタッフがコンテナに正しい商品を納めると、次の商品がある場所へ次々と進んでいく仕組みだ。人間は棚の前で止まっているカートのタブレット画面表示に従い、商品をピッキングすればいいため、人間がカートを押して庫内を回るより大幅に作業負荷を減らせるのが特徴だ。
ダイアモンドヘッドの拠点で稼働しているPEER
ダイアモンドヘッドは2019年、まずPEER30台を千葉県柏市の自社物流センターに導入。その後、21年に北砂の拠点へそのうちの18台を移し、現在は2つの拠点で活用している。北砂の拠点では大手アパレルECの商品入出荷を手掛けており、商品は約4万SKU、80万ピースに及ぶ。
PEERは一般的なAMRの場合、作業スタッフが1台のAMRにずっと追従して動くのとは異なり、複数のAMRが特定のゾーンの中を次々と自律して動き回り、作業スタッフが自由にAMRを選んでピッキングする「ゾーンピッキング」を展開している。特定のエリアにAMRと作業スタッフが集中するのを回避し、ソーシャルディスタンスを確保できるのがメリット。
北砂の拠点ではゾーンピッキングを実施することで、1人が一定期間にピッキングできる商品数が約2倍に増えたという。
PEERを使ったピッキングの様子
ダイアモンドヘッドの商品情報管理システム「PVS」の商品マスターデータとPEERを連携させ、ピッキングする商品の容積を自動的に計算し、最適なかごのサイズをその都度、PEERのタブレット画面に表示する。PEERに取り付けているかごの仕切りを取り外しすれば、商品収納のスペースの大きさを変更できるようにしており、庫内作業スタッフのピッキングをより迅速に行えるようにする狙いだ。
手前がピッキングした商品を運んできたPEER。その奥が、ピッキングに出発するPEERのエリア
PEERのタブレット画面には、PVSのマスターデータから取り込んだピッキング対象の商品の写真をその都度表示することで、業務を始めたばかりの不慣れなスタッフでも問題なくピッキングできるよう工夫している。
最適なかごの大きさをタブレット画面で指示し、そのサイズに合わせる
ダイアモンドヘッドは2020年に資本・業務提携したシステム開発のSCSKプレッシェンド(東京都江東区豊洲)と、ECサイトの構築から商品撮影、システム開発、物流までをワンストップで提供するフルフィルメントサービスを展開している。PEERも取り入れることでピッキングの処理能力を高め、フルフィルメントサービスの機能を拡充できているという。
庫内のPEER稼働状況が一目で確認できる
内覧会に参加したダイアモンドヘッドの今井貴志取締役EC事業本部長は「習熟度が求められていた作業が(商品の写真といった)ビジュアルなどを付けてもらうことで非常に効率良く、早く出荷作業に回すことができる」と解説。
SCSKプレッシェンドで営業・フルフィルメントサービス担当役員補佐を務める松本雅彦氏は「柏と北砂の拠点でそれぞれ生産性をかなり高めることができた。今後は両方の拠点で繁忙期にPEERを融通し合うといったことも検討したい」と語った。
GROUNDの平野一将ソリューション営業本部ソリューション営業部マネージャーは「PEERは稼働中の物流センターでもオペレーションを止めないで短期間で導入できる。トレーニングの負担も大きく軽減される」と強調した。
(藤原秀行)