一五不動産10月調査、「地域や物件次第で市況感の格差がかなり拡大」と展望
工業用不動産に特化した不動産調査を手掛ける一五不動産情報サービスは11月30日、今年10月時点の賃貸物流施設市場の動向に関する調査結果を公表した。
東京圏(東京、千葉、埼玉、神奈川、茨城の1都4県)の空室率は4.0%で、前回調査時の7月時点の3.2%から0.8ポイント上がった。7四半期続けて前期から上昇し、2018年7月(4.6%)以来、4年3カ月ぶりに4%台へ到達した。
今期(8~10月)は新規需要が63.1万㎡と旺盛だったものの、新規供給がさらに上回る87.1万㎡となったことが影響した。
一方、1坪当たりの募集賃料は4700円で、前期の4680円から20円(0.4%)上がった。前期からアップするのは6四半期連続。
同社は「昨年の逼迫した需給環境から1年余りで均衡した局面に移行した」との見解を表明。今後については、引き合いが旺盛で需給が逼迫する地域(物件)が残る半面、空室が長期化する地域(物件)も増加してくることが予想されると指摘、「地域や物件次第で市況感の格差がかなり拡大する」と展望している。
関西圏は1年ぶりに前期から低下
関西圏(大阪、兵庫、京都の3府県)の空室率は1.6%で、7月時点の2.3%から0.7ポイント下落。21年10月以来、1年ぶりに前期から下がった。
今期の新規供給が19.1万㎡で、新規需要の24.3万㎡が上回ったことが追い風になった。
同社は「2023年には関西圏でも高水準の新規供給が見込まれることから、東京圏と同様に地域や物件による格差が拡大しやすい」と分析している。
1坪当たりの募集賃料は4300円で、前期の4420円から120円(2.7%)ダウンした。同社は前期に大きく上昇した反動が出たとみており、「一進一退で落ち着いている」と語った。
調査対象は延べ床面積または敷地面積が1万㎡以上の案件で、東京圏は579棟、関西圏は168棟。募集賃料は募集面積が1000㎡以上の賃貸物流施設。
(藤原秀行)
※グラフはいずれも一五不動産情報サービス発表資料より引用