日本農業が静岡・清水港初、タイ向けにサツマイモを輸出:鈴与などと連携

日本農業が静岡・清水港初、タイ向けにサツマイモを輸出:鈴与などと連携

中部横断道と連携し地域農産物の売り込み図る

農産物商社の日本農業(東京都品川区西五反田)は12月5日、静岡の清水港初となるタイ向け静岡県産サツマイモの輸出を行ったと発表した。2021年8月に全線開通した静岡市~長野県小諸市を結ぶ中部横断自動車道と清水港を活用し、地域の農産物の輸出拡大を図る取り組みの一環。

約10tのサツマイモを、日本農業の子会社ジャパンベジタブル(静岡県牧之原市)が提供し、海上輸送する。輸出した静岡県産サツマイモは清水港からタイのレムチャバン港へ運搬され、日本農業タイ法人が現地での販売・物流実験検証、流通・販売などのマーケティング調査を担う。

■輸出の経緯

今回の輸出は、静岡県が行う「山の洲産品の清水港輸出拡大事業」を活用した取り組み。今回、日本農業は同事業の公募で採択され、初めて静岡県産のサツマイモを清水港からタイへ輸出する役割を担っている。

同事業は、中部横断自動車道の全線開通に伴い、山の洲(静岡県、山梨県、長野県、新潟県)産品を清水港から輸出する仕組みを構築し、清水港を活用した農産物などの輸出拡大につなげることを目的としている。

輸出するサツマイモはジャパンベジタブルと同社の契約農家が荒廃農地を再生して生産、ジャパンベジタブルが選果・こん包した。貨物受け入れからバンニングは鈴与が担当している。

■ジャパンベジタブルについて

ジャパンベジタブルサツマイモを中心とする畑作品目の生産・選果・こん包・販売を行うため、日本農業の子会社として6月に設立。自社圃場は静岡県内の荒廃農地を再生し整備、2023年に総面積15haで作付けし、25年度末までに流通総額10億円規模(約5000t)のサツマイモ産地の形成を予定している。

サツマイモはタイを含むASEAN(東南アジア諸国連合)各国で人気があり、日本からの輸出量も右肩上がりであるにもかかわらず、需要の急拡大や病基腐(もとぐされ) 病の蔓延で供給が間に合わず、機会損失につながっていた。日本農業は供給量自体を増やし、国内外需要に応えるため、ジャパンベジタブルを立ち上げた。

静岡県には、干し芋生産の発祥の地(御前崎市)があるように高い生産技術を有する農家が多い一方、農業の担い手不足、産業の空洞化、荒廃農地の増加といった課題に直面している。ジャパンベジタブルは農業を通じて課題を解決するため、契約農家や農協などと連携し、輸出産地の形成を推進している。

(藤原秀行)※写真は日本農業提供

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