国交省検討会が新たな賦課金の額了解、4月1日開始
国土交通省は1月16日、「今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会」を開催し、全ての自動車所有者に加入を義務付けている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料に4月から自動車事故の被害者支援や事故防止対策の原資として、賦課金を上乗せする額の案を提示、了解を得た。
1台当たりの上乗せ額は年間で自家用車が125円、トラックやタクシー、バスは150円、バイクや消防車などの緊急車両は100円と設定。国交省は年間で約100億円の増加を見込んでいる。今年4月施行の改正自動車損害賠償保障法などに基づき、新たな賦課金の徴収をスタートする。
従来、賦課金は1台当たり年間16円を徴収し、使途をひき逃げや保険未加入車が起こした事故の被害者救済に限定していた。重度の障害が残る被害者の数が目立って減少していないことなどから国交省は2022年6月に関連法を改正し、新たに徴収する賦課金で事故被害者のリハビリや社会復帰支援、重い障害を抱える人のサポート姿勢整備、衝突回避システムなどの技術開発に充てることにした。
ただ、金融庁は新型コロナウイルスの感染拡大で外出機会が減り、事故が減少したことなどから2023年度の自賠責保険料を引き下げる方向で検討を進めており、実際には新たな賦課金の導入後も自動車所有者の負担は増えない見通し。
以前は国交省が管理している自動車安全特別会計から事故被害者支援などの費用を拠出していたが、1994~95年度に同特別会計から国の一般会計へ1兆2000億円を繰り入れ、現時点でも半分の約6000億円が戻っていない。
被害者支援などのための積立金残高は22年度で約1400億円まで減少しており、今後枯渇する恐れがあるため、国交省は新たな賦課金で安定した財源を確保したい考え。しかし、国の都合で特別会計から一般会計へ予算を“流用”したにもかかわらず、自動車所有者に負担させようとする政府の姿勢には、自動車所有者サイドから批判が出ている。
(藤原秀行)