伊藤忠、米ベンチャー・レイヴェン製の環境負荷低い航空燃料「SAF」をJALとANAに供給へ

伊藤忠、米ベンチャー・レイヴェン製の環境負荷低い航空燃料「SAF」をJALとANAに供給へ

廃棄物から製造、将来の需要増見込む

伊藤忠商事は1月17日、都市ごみからリニューアブル燃料の製造を目指す米国のベンチャーRaven(レイヴェン)と組み、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)向けに環境負荷の低い航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」を供給すると発表した。

伊藤忠は2021年8月、レイヴェンに投資。SAFの商業生産や販売に向けて協業している。

レイヴェンは植物系廃棄物、都市ごみ、都市ごみの発酵により発生するメタンガス、有機廃棄物から水素やSAFなどのクリーンな燃料を製造する技術を持つ。24年初めから水素製造プラントの商業運転を開始する予定。

伊藤忠は燃焼プロセスを行わないレイヴェンの技術が長期間安定的に再生可能燃料を製造する持続可能な選択肢になるとみている。また、地域や地方自治体で発生する廃棄物を処理して燃料化することで、各地域が抱える環境や脱炭素の課題に沿った解決法を提供することが可能になると見込む。

レイヴェンは25年にも米カリフォルニア州内でのSAF生産を開始することを目指しており、34年までには欧米で年間20万t規模の生産を実現したい考え。伊藤忠はレイヴェンの力を借りて幅広い就航ネットワークを持つJALとANAへSAFを供給することにより、2030年に航空燃料全体の10%をSAFに置き換えるという国土交通省航空局の目標実現にも大きく寄与できると想定している。。

国際民間航空機関(ICAO)は航空機が排出するCO2を50年までに実質ゼロとする目標を掲げており、航空業界は24年以降に19年比で排出量を15%削減か、オフセット(相殺)することを求められている。

現在の世界のSAFの供給量はジェット燃料全体の約0.03%にとどまっており、今後のSAF製造拡大に伴う原料の多様化は不可欠。廃棄物を原料とするレイヴェンは量とコストの両面でSAF供給の安定を後追いすることが期待される。


レイヴェンのSAF生産プラント(イメージ)※プレスリリースより引用

(藤原秀行)

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