メディパルHD、希少疾病用医薬品の患者個人宅配送実現へ実証実験

メディパルHD、希少疾病用医薬品の患者個人宅配送実現へ実証実験

神奈川で実施、在宅医療促進図る

メディパルホールディングスは1月26日、通院困難な患者へ安全・安心に医薬品を届けることを目的として、希少疾病患者の個人宅への医薬品配送実現に向けた実証実験を神奈川県で開始したと発表した。これより先、1月18日には宮崎県でも同様の実証実験で行う方針を公表していた。

神奈川県の実証実験で対象とする希少疾患のライソゾーム病は肝臓・脾臓の腫大、骨の変形などが生じ、専門医のいる医療機関が限られており、患者は長時間の通院を余儀なくされている。また、歩行障害や寝たきりなどの通院困難なケースも多く、患者や家族の負担が非常に大きい疾患となっている。

ライソゾーム病8疾患に対する11種類の酵素製剤を「保険医が投与することができる注射薬の対象薬剤」に追加することが2021年3月に承認され、制度上は、在宅での酵素補充療法が実施可能となった。しかし、実際の運用は酵素製剤が高額であることや2~8℃の温度管理が必要なことから、医療関係者による取り扱いや管理・配送など、様々な課題を抱えており、ライソゾーム病患者の多くは在宅での酵素補充療法が実施できていない。

このような社会課題の解決に貢献するため、在宅治療を希望しているライソゾーム病患者が自宅で適正な医療サービスを受けられるようにすることを目的に、医薬品流通で培った機能を最大限に生かし、実証実験に踏み切ることにした。

傘下の事業会社メディセオの物流センターから出荷されたライソゾーム病治療薬を厳格な温度管理の下、患者宅まで配送することで、在宅での酵素補充療法にかかる流通上のリスクの特定・分析・評価、薬剤の品質管理、安全性の検証を行う。

厳格な温度管理については、温度ロガー付きmedks-shipper(メドクス シッパー、医薬品用保冷ボックス)を活用し、温度を常時モニタリングする。

検証を重ねる中で、在宅で治療が完結できる環境整備を目指すとともに、新たに生じる課題の把握と解決、加えてライソゾーム病の潜在的なニーズの探求など、高付加価値の伴った個宅配送スキームの構築を図る。

また、実証実験で得られたノウハウを基に、医薬品の適正な流通に関するGDPガイドライン3基準に則った医薬品保管を含めた品質管理や投与管理の実現を目指すとともに、安全・安心な個宅配送を全国で実施できるよう体制を整備する。

「保険医が投与することができる注射薬」対象の酵素製剤一覧

(藤原秀行)※表はプレスリリースより引用

その他カテゴリの最新記事