エアロネクスト、土砂崩落の影響が続く埼玉・秩父市の中津川地内へのドローン生活物資配送の様子を公表

衛星高速大容量通信使い、国内初のプロジェクト実現

エアロネクストは1月30日、災害に見舞われた埼玉県秩父市の中津川地内にドローンで生活物資を定期的に配送する日本初の取り組み「＆（アンド）プロジェクト」の様子を公表した。

プロジェクトには同社のほか、秩父市とゼンリン、KDDI、KDDIスマートドローン、生活協同組合コープみらい、ちちぶ観光機構、ウエルシア薬局などが参加。1月26日から3月末まで実施している。

ドローン定期配送の概要図

現在、ドローンによる物資の配送先となる中津川地内へアクセスするには、一部の緊急車両などの通行のみ許可されている森林管理道金山志賀坂線を通行する必要があるが、冬季は降雪や凍結のため通行が非常に困難となる。また、当該地域の地形の特性上、モバイル通信が不安定な環境のため、KDDIが利用契約を締結した米宇宙関連企業スペースXの衛星高速通信サービス「Starlink（スターリンク）」を活用してauのモバイル通信環境を確保、ドローンの遠隔自律飛行による物資配送を可能にした。

食品や日用品など最大約5kgの物資をドローンで複数回配送し、中津川地内の住民に届ける。ドローンの運航は、エアロネクストの子会社NEXT DELIVERYが実施している。

通行止めの崩落トンネル手前で離陸直前のエアロネクストの物流専用ドローン「AirTruck」

お弁当や新聞の入った箱をドローンに取り付けるスタッフ

崩落現場上空を飛行し食品などを運ぶエアロネクストの物流専用ドローン「AirTruck」（右上の白い機体）

ドローン定期配送の概要

関係者・体制図
全国各地でドローン物流の実証・サービス実装を行うゼンリンが、プロジェクトの全体統括を担当し、技術面・配送面のノウハウを持つ各社と共に、体制を構築した。

配送フロー
（1）住民は、電話などで事前に商品を注文。
（2）コープみらい・ウエルシア秩父影森店、ファミリーマート道の駅大滝温泉店が、注文商品をピックアップ。
（3）各社トラックで道の駅大滝温泉まで配送。
（4）ちちぶ観光機構が、各社の注文品を個人ボックスごとに箱詰め。
（5）注文商品をドローン離陸地点まで配送。
（6）注文商品をドローンで配送。
（7）中津川地内の区長が注文商品を受け取り、各世帯まで商品を配送。

2023年1月26日に実施した記者発表会の様子

通信システム構成のイメージ

衛星ブロードバンドの「スターリンク」を活用した、「どこでも、素早く、広い範囲」にauエリアを構築するソリューション「Satellite Mobile Link」により、映像を用いたドローンの遠隔制御も可能にするauのモバイル通信環境を確保。KDDIスマートドローンが開発した、ドローンの遠隔制御や自律飛行、映像のリアルタイム共有を可能とする「スマートドローンツールズ」の運航管理システムと物流専用ドローン「AirTruck」を組み合わせることにより、遠隔制御による機体の飛行、離発着、荷下ろしを可能にした。

本取り組みに使用される日本発物流専用ドローン「AirTruck」

秩父市中津川地内で食品や新聞を配送する物流専用ドローン「AirTruck」

ドローン配送した中津川地区の住民が注文した食品や新聞

（藤原秀行）※写真はエアロネクスト提供