平均10%、コストアップ踏まえ転嫁図る
ヤマト運輸は2月6日、宅配などの届け出運賃を4月3日に改定すると発表した。燃料費や人件費の高騰が続いているため、コストアップ分を運賃に転嫁させる。
トラックドライバー不足が依然続いているため、運賃引き上げ分で下請けの運送会社との取引条件改善を図り、協力関係の維持・強化につなげたい考え。
改定は2017年以来、約6年ぶり。同社は「今後の外部環境変化による影響を適時適切に運賃などに反映させるため、年度ごとに宅急便の届出運賃などを見直す」と説明している。
改定の対象は宅急便、宅急便コンパクト、EAZY、国際宅急便。改定率は荷物のサイズや届け先によって異なるが、平均で約10%となる。
今回の改定対象は主に消費者が利用する分で、企業が利用している大口の契約分については別途、運賃見直しの交渉を進める方針。
ヤマト運輸の栗栖利蔵副社長は2月6日に開催した2022年4~12月期決算の電話会見で「昨年春ごろから物価が上がり始め、想定を超えるような上がり方だった」と指摘、昨年秋ごろから運賃値上げの検討を本格化させたことを明らかにした。
今後の運賃改定については「大きく単価を下げる要素はないのではないかと思っている」と語り、大口顧客との交渉でも運賃の適正化を目指す姿勢を強調した。
今回の値上げ幅は、宅急便・宅急便コンパクトの場合、関東→関東の現金決済分は610円から650円、60サイズが940円から950円などとなる。
宅配に関しては、先に佐川急便も一般消費者向けの宅配料金を平均で約8%値上げする方針を公表している。コストアップは今後も当面続く公算が大きく、物流事業者にとっては運賃を引き上げられるどうか正念場を迎えている。
(藤原秀行)