東京の荒川下流で災害時想定、緊急援助物資運搬に参加
ドローンを使った林業の荷上げなどドローン関連事業を手掛けるロジクトロン(東京都練馬区)は2月7日、国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所が1月20日に主催した実証実験で「緊急支援物資の運搬及び大型運搬用ドローン飛行時の騒音計測」を行い、55分間で荒川を渡河するルート(約250m)を9往復、約230kgの緊急支援物資のピストン輸送に成功したと発表した。
離陸の様子
実験は墨田緊急用船着場⇔堀切緊急用船着場間(約250m)で行われた
政府が昨年12月、都市部上空でドローンが目視外飛行する「レベル4」を解禁したのに伴い、今後は都市部でもドローンによる配送のニーズが見込まれると判断。重量物を搭載できるドローンの実用化を図る。
ロジクトロンが所有する大型の産業用ドローンXYZ55はペイロード(最大積載量)が55kgと国内最大級の運搬能力を備えている。2台のプロポ(送信機)を切り替えて運用できるため、離陸地点、荷降ろし地点のそれぞれでオペレーターが目視により精密な操縦ができる仕様を実現している。
XYZ55 機体全景
ロジクトロンは林業や山間部の土木・建設現場でXYZ55を使用した荷上げ・運搬業務のほか、ドローン測量、空撮、DIPS2.0コンサルティングなどの事業展開を進めている。今回はXYZ55で災害発生時等における緊急支援物資の運搬を想定した実証実験を計画した。
今回の最大重量となった50kgの水を運搬する際、騒音計測を実施。高度15mの機体直下で110db(自動車のクラクション程度)、25m地点で80db(走行中の電車内程度)になったという。
衛星インターネット通信環境を備えた大型ドローン専用車両を配備するなど、災害発生時に迅速に活動できる体制を整えていることから、今後は各地方自治体との災害協定の締結など協力関係の構築を図る。
【実証概要】
緊急用支援物資輸送/積載時騒音測定
【実証地】
荒川下流域 堀切緊急用船着場⇔墨田緊急用船着場間(約250m)
【運用方法】
両岸2オペレーター、AB間自動航行、自動フック切り離し機構等
【緊急支援物資(梱包資材重量含む)】
リゾット400g×25袋(11kg)×14箱 ※1回に2箱ずつ運搬
カップヌードル78g×40個+水2L×10本(26kg)
水2L×24本(50kg)
合計:非常食390点+水68L(梱包資材込約230kg)
【実証結果】
55分間で250m×9往復 総重量230kgの運搬に成功
騒音計測(高度15m/50kg積載時)機体直下:110db/25m地点:80db
【使用機体スペック】
機体名称 | XYZ55 |
最大積載重量 | 55kg |
機体重量 | 22.5kg |
サイズ | 790×3,190×3,190mm |
バッテリー規格 | リチウムイオン16セル25,000mAh×2 個 |
その他機能 | フェールセーフ機能/バッテリー電圧降下警告/自動着陸/送信機と通信切断時ホバリング/高度維持機能/速度維持機能/ GNSS・L バンド併用/防塵・防水・防滴機能 |
運用性能 | 最高速度70km/h /最大到達高度500m /最大飛行距離2,000m /電波到達距離2,000m/飛行可能風速最大7m/S /最大飛行時間30分(バッテリー残量最大 20%)/使用可能温度5~40℃ |
(藤原秀行)※いずれもロジクロトン提供