佐川の千葉担当課長、医薬品取り扱いのニーズ注視
佐川急便でドローン物流の検討を進める千葉春生事業開発部技術研究課長は2月7日、東京都青梅市で展開しているドローン配送の実証実験を公開した後、メディアの取材に応じた。
千葉氏は、住民の間で利用が徐々に広がってきており、食品や日用品に加えて市販医薬品を運ぶ需要も確認できているとの見解を表明。山間地域の生活利便性向上と物流機能の維持に向け、ドローン物流実用化の意義は大きいとの見解をあらためて強調した。
また、政府が昨年12月、都市部上空でドローンが目視外飛行する「レベル4」を解禁したのを受け、従業員がレベル4のドローン物流を展開する上で不可欠な国家ライセンスの取得を進めるなど、都市部のドローン物流実現に向けた準備を着実に進める姿勢を示した。
青梅市の山間部でドローンが商品を配送する様子
取材に応じる千葉氏
「土曜日に加え、平日にも注文あり」
実証実験はロボット開発を手掛けるスタートアップのイームズロボティクス、日本気象協会、ドラッグストア大手のサンドラッグと連携し、東京都や青梅市の協力も得ながら、1月11日から2月10日までの間に実施。山間地でドローンが日用品や市販医薬品、食品などを住民へ届けており、最短で注文した当日中に配達した。
千葉氏は「最初は土曜日の注文が多かったが、週を追うごとに平日も注文をいただくようになった。少しずつ近隣の方々に定着してきたのかなと思う」と語った。
また、「オンラインの遠隔診療が今後広がることが見込まれるため、ドラッグストアの方とご一緒させていただくのがいいのではないか、ということでサンドラッグさんにお声掛けさせていただいた」と説明。
医薬品の領域に関しては、佐川としてどの程度までドローン配送で携わるかなどの詳細はまだ今後の議論だとの見解を示した上で「確かに(市販医薬品を)注文いただいている方も増えているという意味では、今後ニーズは見込まれるのではないかと思っている」と語った。
佐川は既に、2025年度のドローン物流サービス開始を目指す意向を表明している。千葉氏は「従業員の中でライセンスを取得し、操縦できるレベルになることが今後(レベル4の)事業化の条件に含まれてくると聞いているので、整備が必要になる」と語り、安全に操縦できる人材の育成などを進める姿勢を強調した。
さらに、可能であれば東京都や青梅市の協力を得て、2023年度以降に青梅市で再度、ドローン物流の実証実験を行いたいとの希望を明らかにした。
無事に商品を引き渡し
(藤原秀行)