佐川との実証実験、日常品や市販医薬品の輸送に手ごたえ
ドローン開発を手掛けるスタートアップのイームズロボティクス(福島県相馬市)の宇田丞事業推進本部ソリューション営業部長は2月7日、佐川急便などと共同で、東京都青梅市でドローンによる配送サービスの実証実験をメディアに公開した際、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。
宇田部長は以前から開発に取り組んでいる、1人の操縦者が複数のドローン機体を遠隔で操縦、運航管理する「1対多」の制御システムについて、今回の実証実験の経験を実用化に生かせるとの見解を表明、自信を示した。
また、実証実験の期間が1カ月にわたったことで、様々な物を運ぶ可能性と課題を把握できたと指摘。市販医薬品もドローンで安定的に輸送することが可能でニーズが見込めると期待をのぞかせた。
併せて、山間部でドローン配送を展開することで、災害発生時に被害状況の迅速な把握や支援物資の輸送にも応用できると意義を強調した。
実験後、各メディアの取材に応じる宇田部長(右)。左は佐川急便でドローン物流の検討を進める千葉春生事業開発部技術研究課長
山間地を飛んで商品を配送したドローン
「地元の方がオペレーション担えるようサポート」
ドローン配送は佐川とイームズロボティクス、日本気象協会、ドラッグストア大手のサンドラッグが参加して実施。東京都や青梅市の協力も得ながら、1月11日から2月10日までの間、山間地でドローンが日用品や市販医薬品、食品などを住民へ届けた。
宇田部長は「1対多」の運航形態に関し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト」の研究開発項目「性能評価手法の開発」の中で採択されたことに言及。
ドローン配送の効率を上げ、コストを抑えるためには不可欠な技術と意義を訴え、実用化に引き続き務める姿勢を示した。
「1対多」の運航形態イメージ(イームズロボティクス提供)
今回の実証実験に関しては「佐川さんとは以前から数年ご一緒しているが、これまでは単発で、短い期間の実証実験だった。今回初めて長期にわたって実施することになった」と説明。
「機体のセッティングやバッテリーの交換など、フライトの作業自体、地元の方が誰でもできるようにしていくことが必要。どのように実現していくか、システム的にどのようなサポートができるかを考えながら取り組んでいる。担い手はたくさんいらっしゃると思うので、作業のルーティン化でコストを下げていきたい」と語り、地元の人がドローン配送を担える体制づくりに引き続き注力することを強調した。
日用品や市販医薬品などを取り扱ったことについては「今までにない手ごたえがあった。日常的に必要なものなので、長い期間にわたりドローンで運ぶことができたのは結構な自信になると思う」と述べた。
また、「中山間地、山岳地帯は風が強かったり、雨や雪が降ったりといろんな気象環境がある。短距離でも空路で物を運べるのが1つのメリットになる」と語り、日常的なドローン配送だけでなく災害時の有効活用も視野に入れていく方針を示した。
(藤原秀行)