国交省が運用状況報告、長時間待機も
国土交通省は3月13日、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」と「トラック運送業の生産性向上協議会」の合同会合で、改正貨物自動車運送事業法に基づき、2024年3月までの時限措置として実施している、運送事業者の違法行為を助長していると認められる荷主企業や元請けの運送事業者に改善を要請・働きかける制度の運用状況を報告した。
今年2月末で、働きかけを実施したのは76社、要請は3社に上っている。
同制度は働きかけや要請を行っても荷主企業などが問題行為を改善しない場合、改善を勧告するとともに具体的な社名を公開すると定めているが、その事例は出ていない。
国交省によれば、昨年8月に要請を実施した中部運輸局管内の製造業の発荷主は、運送事業者を長時間、積み込みの際に待たせており、働き掛けを実施した後も「昼過ぎから待機しているが、夕方18時ころの積み込みになるのが常」「積み込み待ちがかなり長くて、お昼に受付しても夜7時になる」との声が運送事業者から寄せられていたという。要請の結果、発荷主は入稿時間の指定や出荷口の増設などを行い、「1時間以上の待機台数比率」は大幅改善された。
また、今年2月に要請した関東運輸局管内の倉庫業の発荷主も、働きかけの後も「受付後、2時間半以上荷待ちがあり、現在も待っている」「朝8時過ぎに受付したにも関わらず、12時現在も呼ばれない」との報告が運送事業者からあり、改善計画の策定に着手したという。
さらに、近畿運輸局管内で元請けの運送業に対して昨年11月、要請を実施。「過積載と分かっていながらトラックに荷物を積むよう強要してくる。過積載である旨を忠告しても聞いてもらえない」との情報提供があったという。このため、当該の運送業は問題行為防止に向け、全社レベルの対策強化に着手した。
(藤原秀行)