STANDAGEの大企業実態調査結果、実務の課題は「ペーパーレス化進まず」がトップ
貿易業務のワンストップ支援サービス「デジトラッド」を展開しているSTANDAGE(スタンデージ)は3月16日、従業員500人以上の大手企業で貿易業務に携わっているか、携わった経験のある会社員101人を対象に、大手企業の貿易業務アナログ実態調査結果を取りまとめた。
調査サマリー
調査概要:大手企業における貿易業務のアナログ実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画によるインターネット調査
調査期間:2023年2月28日~3月1日
有効回答:大手企業(従業員数500人以上)で貿易業務に携わっている、または携わった経験のある会社員101人
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100にならない場合がある
全体の約6割が、現状の貿易業務の印象を「アナログだと思う」と回答。大手企業であっても情報共有などのDXが遅れていることをうかがわせた。具体的に最も非効率・アナログだと感じているのは「物流」が最も多く、「相手先との交渉・契約」が続いた。
「物流会社とのやり取りが煩雑」も悩み多く
現状の貿易業務の印象を尋ねたところ、「非常にアナログだと思う」が14.9%、「ややアナログだと思う」が46.5%で合計すると61.4%に到達。DXが進んでいると認識している人を上回った。
「非常にアナログだと思う」「ややアナログだと思う」を選択した人に、貿易関連業務の中で最も非効率・アナログだと感じる分野を質問したところ、「物流」が27.3%で最多。「相手先との交渉・契約」が22.7%で続いた。他は「決済」(16.7%)、「社内関係者とのコミュニケーション」(15.2%)などが並んだ。
貿易業務を行っていて感じる、実務面での「課題」を聞いた結果(複数回答)は、「原本性重視の書類が多いためペーパーレス化が進まず、業務効率が悪い」が37.6%でトップ。「物流手配や物流会社とのやり取りが煩雑で時間を取られる」が33.7%、「外国語に対応できる人材が不足しており、契約・交渉にハードルがある」が28.7%などとなった。
このほかに貿易実務の課題として感じているものを自由回答で尋ねると、「国ごとの規制内容が異なるため、対応に時間がかかる」や「通関業務など貿易事務に精通している社員が少ない」などがあった。
・32歳:国ごとの規制内容が異なるため、対応に時間がかかる。
・53歳:通関業務など貿易事務に精通している社員が少ない。
・59歳:間に何社も入ったりするので、トラブルなどの時に非常に時間が掛かる。
・65歳:物流関係の効率化の推進がまだまだである。
・52歳:書類が多く複雑。船の運賃、費用がわかりずらい。
・49歳:外国語の対応が難しい。
・65歳:日本での英語のハードルの高さ。
先の課題に関する設問で、代金不払いや回収、為替予約、外貨規制など決済面にリスクを感じていると答えた人に、国際貿易の決済であらゆるリスクを排除し「お金の所有権」と「物の所有権」の同時交換を安心・安全に実現できる決済プラットフォームサービスがあったら導入してみたいと思うかと振ってみたところ、「非常にそう思う」が37.9%、「ややそう思う」が55.2%で9割が関心を示した。
また、同じく課題に関する設問で、物流手配や物流会社とのやり取りが煩雑で時間を取られるを選択した人に、国際貿易の物流手配で複数の物流会社の概算見積もりを即時に取得して比較、そのまま本見積もり・本発注の手配や先方とのやりとりが行えるサービスがあったら導入してみたいと聞いたところ、「非常にそう思う」が38.2%、「ややそう思う」が41.2%で、こちらも約8割が関心を見せた。
今後、貿易実務を効率化していくために何が重要か、上位3つまで選択してもらったところ、「物流会社とのやりとりの簡略化」が37.6%で最も多く、「物流手配のシステム化、または既存システムの改善」が36.6%、「書類の電子化(ペーパーレス化)」が34.7%となった。
勤務先で業務効率化のためのシステムなど、貿易DXに関わるツールやサービスを導入しているかどうかを質問した結果は、「はい」が47.5%、「いいえ」が30.7%で、はいが半数近くに達した。
上記の設問で「はい」と回答した人に、今後勤務先でさらに貿易DXに関わるツールの導入を進めていくべきかどうかを聞いたのには、「非常にそう思う」が58.3%、「ややそう思う」が37.5%で合計9割を突破した。
この9割超の人に、貿易DXに関わるツールやサービスの導入をさらに推進していくべきだと思う理由を選んでもらった(複数回答)ところ、「DXを進めることでコミュニケーションの効率化ができるから」が54.3%と過半数に到達しトップ。「生産性が向上することで、よりビジネスの幅が広げられるから」(52.2%)、「業務の処理スピードが上がることで、より大きな利益を生み出すことができるから」(50.0%)もそれぞれ5割に達した。
半面、さらなる貿易ツール導入に「いいえ」と回答した向きに、勤務先で貿易DXに関わるツールの導入が進んでいない理由を教えてもらったところ(複数回答)、「既存のオペレーションを変えることができないから」が54.8%、「導入したいが、費用をかけることができないから」が38.7%、「課題解決のための適切なツールが世の中にないから」が25.8%などとなった。
併せて、さらなる貿易ツール導入に「いいえ」と答えた人に、他に今後貿易実務の効率化の推進が重要になってくると思う理由があれば自由回答してもらったところ、「通関業務の効率化」や「為替と株の値動き」など20の回答を得られた。
・53歳:通関業務の効率化。
・33歳:為替と株の値動き。
・37歳:円安が進むから。
・49歳:人材が減少するなかで業務の改善が、早急の課題だから。
・65歳:貿易執務意識を一気通貫で把握できる人材の現地派遣が難しい。
・59歳:人材育成。
・64歳:当社の実務に沿ったシステム化が難しい。
URL:https://standage.co.jp/digitrad
(藤原秀行)※グラフはいずれもSTANDAGE提供