強度も維持、CO2削減に貢献
日本パレットレンタル(JPR)は3月17日、PT-11型プラスチック製レンタルパレットを新たに製造する際に使用する原料のうち、リサイクル原料が占める割合を約30%まで高めることが可能になったと発表した。
プラスチック原料をレンタルパレットの共同利用の枠組みの中で循環させることができると説明している。
プラスチック原料をパレットの共同利用の枠組みで循環させる
PT-11型プラスチック製レンタルパレットはJPRがレンタルパレットで展開している主要の機種。加工食品や日用品業界で最も一般的に使用されているレンタルパレットで、JPRは約1000万枚保有し、利用企業にレンタル方式で日々供給している。
PT-11型プラスチック製レンタルパレットとビジネスモデル
一般的にパレットの破損が起きる主な理由は、フォークリフトの爪との衝突。レンタルパレットには繰り返し長く使用できるようにするため厳しい状況に耐える構造が求められている。
フォークリフトの爪の衝突などによる破損の例
また、レンタルパレットは企業の様々な自動化設備(マテハン機器)にも対応する必要がある。一例として、自動倉庫の一部には、パレットの底面全体ではなく、左右両端で支持する構造のものがあり、レンタルパレットにはこうした設備も考慮した強度が求められている。
多様な自動化設備の例(イメージ)
高い強度を有するレンタルパレットも、繰り返し使用される中で破損等により使用できなくなることがある。従来、こうした破損パレットは、再びPT-11型の原料として活用するほか、プラスチック再生事業者を介して、他のプラスチック製品へ再生されている。
JPRは持続可能な社会を目指すため、破損パレットを再原料化して再びPT-11型として活用できるようサプライヤー企業などと取り組んできた。その結果、新規に製造されるPT-11型に占めるPT-11型再生原料の割合を約30%とすることが可能になったという。
プラスチック再生事業者での再原料化
再生原料比率を高め廃パレットレンタルの枠組みの中で循環させる
一般的に再生原料の割合と製造するパレットの強度にはトレードオフの関係があるとされている。レンタルパレットは多企業間で利用されるため、利用シーンは多様で、一般的なパレットと比較して高い品質が要求される。破損パレット由来の再生原料比率を高めるのは一定のハードルがあった。
一方で、安定した品質のパレットを製造するためには、再生原料の品質が均一、安定的であることが不可欠で、JPRは破損したPT-11型を再びPT-11型に生まれ変わらせることは理にかなっているとみている。
新規材を100%使用したPT-11と比較し、CO2の排出量を約20%削減できると想定。具体的には、パレット1枚当たり約6.8kgのCO2を減らせるという。
JPRは再原料化に加え、PT-11型のスペックの更新も継続。破損が起きやすい部分を強化しつつ、構造などを見直すことで強度を維持しながら、軽量化を進めている。PT-11型は初期型の投入から約20年が経過し、重量は1枚当たり約25㎏から約19㎏へと軽量化を果たしている。
使用するプラスチック原料の量を抑制するだけでなく、トラック輸送時のCO2排出量が低減される効果が得られる。
JPRレンタルパレット(プラスチック製)による共同利用・共同回収で運用すると、各企業がそれぞれ自社パレットで運用した際よりも約76%のCO2削減につながると試算している。
(藤原秀行)※いずれもJPR提供