「空飛ぶクルマ」25年ごろの商用運航開始想定、荷物輸送は先行して遠隔操縦実現

「空飛ぶクルマ」25年ごろの商用運航開始想定、荷物輸送は先行して遠隔操縦実現

官民協議会が運用方針の概要など公表、専用空域設定も提案

経済産業、国土交通の両省は3月31日、長い滑走路を使わず垂直離着陸が可能な「空飛ぶクルマ」の実用化に官民で取り組む「空の移動革命に向けた官民協議会」の会合を開いた。

両省は空飛ぶクルマの今後の運用に関する方針の概要などを公表、大筋で了承を得た。

この中で、空飛ぶクルマの実用化へのステップとして、試験飛行や実証飛行を経て、大阪・関西万博が開催される2025年ごろに商用運航を開始することを想定。操縦者が搭乗しているパターンのほか、荷物輸送については遠隔操縦も実施することを念頭に置いている。また、操縦者が搭乗する前提でライセンスを設けることを検討していることにも言及、制度設計を進めていく方針を表明している。

さらに、2020年代後期以降、運航規模を拡大し、自動操縦を含めた運航体制を30年代以降に確立することを目指す方針を示している。荷物輸送で先行して技術革新が進み、旅客輸送はより慎重に利用拡大を図っていくとの基本的なスタンスは維持した格好だ。


今年3月に大阪城公園で行われた空飛ぶクルマの実証飛行の様子(丸紅提供)

空飛ぶクルマの定義として「電動化、自動化といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段」と説明。機体に関しては、初期の段階は充電式バッテリーを動力源とするeVTOL(電動垂直離着陸機)で、操縦者自身が乗り込むことが中心になると予想するとともに、将来は水素燃料電池なども使われる可能性があると展望している。

空飛ぶクルマの専用離着陸設備を「バーティポート」と命名。空港やバーティポートを結ぶ飛行ルートを設定する際、特に空飛ぶクルマが数多く飛び交う場合は専用の空域「コリドー」を設けることを打ち出している。

このほか、水上を飛行する際、墜落や不時着に備えて救命胴衣の搭載を義務付けるかどうかについては引き続き検討すると説明している。必要とする機体の性能などの基準に関しては2023年度末までに策定を完了することを示している。

今後、官民で安全運航を実現するための飛行管理システムの開発促進、飛行ルールの整備などを進める。

(藤原秀行)

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