海運領域の脱炭素移行を支援
日本政策投資銀行(DBJ)は4月7日、日本海事協会(ClassNK)と共同運用している海運業界向けの融資プログラム「Zero-Emission Accelerating Ship Finance(ゼロエミッション・アクセレレーティング・シップ・ファイナンス」を活用し、福岡造船(福岡市)と米船会社フェアフィールド・ケミカルキャリーズの日本法人フェアフィールドジャパン(FJL、東京都千代田区) が共同開発したLNG(液化天然ガス)燃料のケミカルタンカー「FAIRCHEM PIONEER」建造費用として融資を実施したと発表した。
具体額は開示していないが、数十億円規模とみられる。ケミカルタンカーは福岡造船が建造、 FJLが傭船する予定。LNGを燃料とするケミカルタンカーは日本初。
プログラムは海運業界で環境規制が強化されているのを踏まえ、DBJとClassNKが共同開発した総合スコアリングモデルに基づき、「脱炭素環境配慮性能先進性」の観点でClassNKが船舶を評価、DBJが投融資する。海運事業者の脱炭素への移行をファイナンス面で支援するのが狙い。
福岡造船は福岡市と長崎市に造船工場を構え、化学品を運ぶケミカルタンカーの建造を得意とする。今回の船は 福岡造船長崎工場で建造後、FJLに引き渡す予定。
DBJはLNG燃料化でCO2排出量の大幅な削減が可能と見込まれることや、窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物 (SOx)、粒子状物質(PM) の削減を通じてIMO(国際海事機関)のNOx3次規制やSOx規制に適合すること、解撤時の環境配慮も為されていることなどを評価した。
【 本船概要 】
(福岡造船提供、DBJ引用)
船名 | FAIRCHEM PIONEER (福岡造船N-2112番船) |
IMO番号 | 9965552 |
船種 | ケミカルタンカー |
載貨重量トン数 | 約 26,300MT |
建造造船所 | 福岡造船株式会社 長崎工場 |
(藤原秀行)