【動画】陸自とバイクネットワーク関東、災害応援協定を締結

【動画】陸自とバイクネットワーク関東、災害応援協定を締結

情報収集で協力、迅速な初動対応目指す

陸上自衛隊東部方面総監部とバイクによる災害対応支援を手掛けている民間団体「災害ボランティアバイクネットワーク関東(VBN)」は3月18日、陸上自衛隊朝霞駐屯地(埼玉県朝霞市など)で、大規模な災害が起きた際の応援に関する協定を締結した。

VBNは2005年発足。バイク販売店などが参加し、災害時に機動性が高いバイクを活用した人命救助や物資輸送などのボランティア活動を行っており、会員は約660人に上る。

協定に基づき、VANのメンバーが各地の被害状況などに関する情報収集で協力。陸自が円滑に初動対応を始められるようにするのが狙いだ。VBNは東京都などとも同様の協定を締結している。

今回の協定が対象としているのは東京や神奈川、埼玉、山梨など関東の1都9県。広域で被害が生じる大規模な地震や豪雨などを想定している。陸自が災害応援に関する協定を二輪の業界団体と結ぶのは全国で初めて。


協定締結後に握手する嶋本部長(右)と赤坂会長


協定を締結した陸自とVBNの関係者


「初動時に情報の空白を埋めたい」

同日行った協定締結式後の記者会見で、陸自東部方面総監部の嶋本学情報部長(1等陸佐)は「特に大規模災害が起きた際、初動時に情報の空白を埋めたい。自衛隊にもバイクはあるが(VBNの助けを借りて)プラスアルファで情報収集できることを期待している」と説明した。

昨年の西日本豪雨の際、自衛官が広島県の東広島へ救助に向かおうとしたところ、土砂崩れなどの影響で本来は1・5時間で到達できるルートを7時間要したことなどを紹介。「いろいろな手段で前進できるのは極めて重要だと考えている」との見方を示した。

物資輸送などの面での協力については、現状では何も決まっていないと語った上で「今後連携を深めていく過程でそういうことを検討することもあるかもしれない」と述べ、医薬品など緊急物資輸送、通信回線不通時の連絡といった点でもバイクを活用する可能性を示唆した。

VBNの赤坂正人会長(日本二輪車普及安全協会理事)は「中越地震や東日本大震災の時も電話やメールで被害状況を会員の方々に知らせていただいた」と説明。現状で約100人の会員から協力の承諾を得ていることを明らかにした。

陸自東部方面総監部は2月にもドローン(小型無人機)の産業利用促進を目指す日本UAS産業振興協議会、ドローンの開発・製造を担う自律制御システム研究所とそれぞれ同様の災害時応援協定を結んでいる。民間の力を借りながら、災害対応を強化したい考えだ。

(藤原秀行)

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