大和ハウスが金利上昇受け物流施設など不動産投資の判断基準厳格化、日本初の稼働後CO2排出削減価値考慮もスタート

大和ハウスが金利上昇受け物流施設など不動産投資の判断基準厳格化、日本初の稼働後CO2排出削減価値考慮もスタート

1t当たり2万円の社内価格設定

大和ハウス工業は4月21日、物流施設や分譲マンションなど投資用不動産への投資の可否を判断する際の基準を厳格化したと発表した。

米国や欧州を中心にインフレ抑制へ金利を引き上げる動きが広がり、今後日本にも波及する可能性がある。金利が上昇すれば調達資金の金利も上がることが見込まれるため、不動産開発で損失が生じるリスクが高まるのを回避するのが狙い。

2022~26年度の5年間で2.2兆円と設定している不動産投資の目標額については維持するとみられる。

具体的には、投資により十分な収益を挙げられるかどうかを判断するための指標として広く用いられている「内部収益率(IRR)」について、今年2月、投資プロジェクトごとに同社内でゴーサインを出せる水準を8.5%から10%に引き上げた。確実に収益が見込める案件に絞り込む。

同社は併せて、投資対象の施設が稼働開始後にどの程度CO2排出量を削減できるかを利益に換算し、投資可否の判断材料の1つにする取り組みを開始したと発表した。脱炭素の潮流が物流・不動産業界でも強まっているのに対応する。

CO2排出をコストと認識し、その削減分を利益とみなしてIRR算出に反映させる。削減分の価値を計算する際は、自社で独自に値付けする「インターナルカーボンプライシング制度(社内炭素価格、ICP)」を活用する。同社は日本で初の試みと主張している。

大和ハウスはICPについて、社内炭素価格を1t当たり2万円と設定。併せて、建物として「Nearly ZEB」または「Nearly ZEH-M」以上の省エネ・環境負荷低減認証を得ていることを条件にする。

(藤原秀行)

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