物流施設が地方創生に貢献と指摘
不動産協会の菰田正信理事長(三井不動産社長)は3月19日、東京都内で定例の記者会見を開いた。同日公表された2019年の公示地価に関して「3大都市圏を中心に継続している緩やかな地価の回復傾向が地方圏にも波及しており、不動産に対する堅調な需要が持続していることが地価に反映された」と評価した。
その上で、「経済成長の原動力である大都市の国際競争力を一段と強化するとともに、企業の国内設備投資を促進しイノベーションを誘発・加速させ、不動産市場の活性化を図っていくことが地方創生推進の観点からも不可欠だ」との見方を示した。
記者会見に臨む菰田理事長
「物流適地」での用地取得が困難に
公示地価で物流施設などの工業地も上昇傾向が続いていることについては「物流施設が多少なりとも地方の活性化、地方創生に寄与している」と前向きな見方を示した。その一方、「だんだん物流適地と言われているところが絞られてきて、そこにおける用地取得が難しくなっていることも併せて発生してきている」と指摘した。
旺盛だった不動産投資マーケットでここに来て一部減速感が見られることに対しては「ここ数年、物件の価格がずっと上昇してきた結果、今かなり高値圏に張り付いている。機関投資家はしっかりとした基準を持って投資をされており(その水準からさらに価格が)飛び出したものは購入しない状況になっているので、一時的に投資が減っている」と分析。現状はバブルではないとの認識を強調した。
会見に同席した内田要副理事長(専務理事)は、19年度の同協会事業計画に物流開発事業に必要な環境整備を図る方針を盛り込んだことに関連し「物流事業委員会のワーキンググループのコアメンバーでいろんな議論をしていて、どんな課題があるのか整理している。協会としてまとまって行動すべきことがあるかどうか今議論しており、例えば(委員長が所属している)プロロジスの施設を見学して問題点を伺ったりしているところだ」と説明した。
(藤原秀行)