官民検討会で関係3省、建設業界参考に
国土交通、経済産業、農林水産の3省は4月27日に開催した「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、トラック輸送の多重下請け構造に関する実態調査結果を公表した。
3省は運送事業者の規模が小さくなるほど、3次以下の下請けになっているケースが多いことが示されたなどと分析。多重下請け構造をあらためてうかがわせた。
3省は調査結果を引用しながら、元請けと下請けの事業者間の適正な取引や下請け事業者の適正利益確保を促進するための措置として、元請けの運送事業者に対し、下請け運送事業者の名称やそれぞれの事業者が担っている運送業務の内容を記載した「運送体制台帳(下請け運送事業者リスト)」の作成を義務付けることを提案した。
併せて、事業者間の契約内容を書面で交付するよう義務化することも例示した。
調査は全日本トラック協会を通じて実施、4401件の回答を得た。運送事業者の74%が、下請けの事業者を利用していると回答。下請け金額は受託額のおおむね9割以上で委託しているという。
一方、他の運送事業者からの依頼を受けるケースも、78%が「ある」と回答。あると答えた事業者の49%がさらに別の孫請け事業者に依頼していると説明している。資本金別の集計で見ると、3次以降の下請けとなっている割合が300万~1000万円の場合は16%で、最も多かった。
契約書面化については荷主と運送事業者の間、運送事業者同士のいずれも、大半が書面化されていると回答。半面、付帯作業の領域や燃油サーチャージなどについては記載していないケースが多いことも示された。
3省は、同じく下請け構造が常に指摘されている建設業界を所管する建設業法で、建設事業者に対し、下請けの事業者の名前や工事内容などを記載した「施工体制台帳」を作成、現場ごとに配備し、工事発注者から請求があれば閲覧させることを義務付けている点に言及。トラック運送でも同様の枠組みを取り入れることを例示した。
また、内航海運事業法で契約内容を書面で交付するよう明記していることを引用、同じくトラック運送事業でも同様の枠組みを採用することを例示した。
(藤原秀行)