石油価格高騰などが影響か
日本銀行が10月1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(今年6月)から7ポイント上昇しマイナス3で、5四半期連続して改善した。
中堅企業は8ポイント上昇のマイナス26で5四半期連続の改善。中小企業も4ポイント上昇のマイナス16で4四半期続けて改善した。
DIは新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢悪化で、一時はリーマンショック後の不景気に見舞われていた2009年当時の低水準まで悪化したが、その後は経済活動の再開で持ち直している。
ただ、プラス圏にあったコロナ禍前の水準とはまだ隔たりがある上、先行きの見方に関しては大企業がマイナス3で横ばい、中堅企業はマイナス27、中小企業がマイナス20でいずれも9月からは小幅ながら悪化。足踏み状態になっており、コロナの流行による自動車の部品供給停滞と減産、世界的な半導体不足、石油価格高騰などが懸念材料になった可能性がある。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9360社が調査対象で、99・3%が回答した。
全産業ベースの業況判断DIは大企業製造業が前回調査から4ポイント上昇のプラス18で5四半期連続の改善を見せ、大企業非製造業も1ポイント上昇のプラス2となるなど、産業界全体で景況感が好転。半面、先行きは慎重な見方が目立っている。
(藤原秀行)