負荷軽減の次世代輸配送システム拡充、ロボットや自動搬送機の技術開発も継続
ニチレイは5月9日、東京都内の本社で2023年3月期(22年度)連結決算の説明会を開催した。
この中で、ニチレイロジグループ本社を中心に展開している低温物流事業について、24年3月期(23年度)の業績は売上高が前期比4%増の2550億円、営業利益が1%増の153億円を見込んでいることを明らかにした。
輸配送や作業委託のコストが引き続き膨れると見込むものの、新たにスタートした、コスト上昇分の一定割合を商品保管のサービス料金に転嫁、顧客にも負担してもらう仕組み「電力料金サーチャージ」が年度を通して電気代上昇をカバーできると想定。
港湾地区を中心に冷凍・冷蔵貨物の集荷が増えると見込むほか、海外でも欧州を中心に事業が伸びると想定。神戸で2024年1月に稼働開始予定の新たなグループの物流センター「神戸六甲DC」も運営スタート当初は一時的な費用が発生するものの、早期に安定稼働させることで営業強化に貢献できる見通しなことも踏まえ、低温物流事業全体ではコストアップを補って増収増益を達成できるとみている。
23年3月期の実績は売上高が9%増の2442億円、営業利益が4%増の151億円だった。欧州を中心に海外が堅調だったことなどが収益を押し上げた。
「神戸六甲DC」の完成イメージ。グループのキョクレイが運営する(ニチレイ決算説明会資料より引用)
24年3月期の事業戦略として、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」をにらみ、既にスタートしているドライバー負荷軽減のための次世代輸配送システム「SULS」の拡充、冷凍・冷蔵倉庫の自然冷媒化促進による環境負荷低減、欧州で通関・保管・輸送を一体的に請け負うワンストップサービスの提供拡大などを図る方針。
「神戸六甲DC」を早期に安定稼働させ、関西地区の果汁・乳製品の保管ニーズ取り込みを図る。併せて、ロボットや自動搬送機など物流現場の省力化・自動化を後押しする技術開発を継続。中国やASEAN(東南アジア諸国連合)での事業基盤整備なども引き続き進める。
(藤原秀行)