生産性向上図る、24年1月に1都3県などでスタートを計画
ヤマトホールディングスは5月10日、2023年3月期連結決算の電話会見を開催した。
栗栖利蔵副社長は、現在進めている事業構造改革の進捗状況を報告する中で、新たな取り組みとして、宅配を担う「セールスドライバー(SD)」の働き方の変革に取り組んでいることを明らかにした。
現状は全国一律でSDが営業、集荷、配達を全て担うことを基本としているが、地域の特性に合わせて営業渉外をメーンとする「SD」、配達に重点を置く「DD(デリバリードライバー)」、集荷を軸とする「PD(ピックアップドライバー)」に細分化することを念頭に置いている。併せて、職務に応じた働き方や待遇を採用する。
特定の需要地に限り、クール配送に特化するドライバーや、EC向けの「EAZY CREW」の外部パートナーも配置することを想定している。
今年2月に東京都内の一部地域で実証を始めており、2024年1月には首都圏1都3県と名古屋、阪神の両地域の主要都市部で展開していくことを計画している。人数の構成は27年3月時点で、DDがドライバー全体の6割前後、SDとPDで4割前後を見込んでいるという。
栗栖副社長は「SDが全て配達したり集荷したり、さらにセールスしたりとなると、配達量が増えてくると時間的に(業務をこなすのが)厳しくなってくる。生産性を上げていくことで報酬に反映させるところにもつなげていきたい。きちんと(業務内容を)定義付けして、内容を従業員に十分説明していきながら進めていきたい」と語った。
栗栖副社長はまた、これまでに進めている既存の宅配営業所の集約について、23年3月期の3331から24年3月期には約2800、27年3月期には約1800まで絞り込むとの計画に言及。さらに、荷物を集約して各営業所へ仕分けする主要拠点「ターミナル」の機能を再定義し、営業所との統合などで輸送・作業コストを適正化していくことを強調した。
ターミナルに関しては、発送・到着作業の分離や一部作業の外部パートナーへの業務委託などを進めていると説明。22年11月に新設の福岡篠栗ターミナルで変革の取り組みをスタートし、24年3月期には既存ターミナルでロールモデルを構築していくとの流れを予定していることに触れた。
(藤原秀行)