国交書検討会が議論中間取りまとめの骨子提示
国土交通省は3月22日、東京・霞が関の同省内で「新しい物流システムに対応した高速道路インフラの活用に関する検討会」(座長・根本敏則敬愛大教授)の第3回会合を開いた。
検討会の第3回会合
事務局の国交省が、トラックドライバー不足に伴い官民で実現に取り組んでいるトラックの隊列走行やダブル連結トラックが安全かつ円滑に実施可能となる高速道路の在り方について、議論の中間取りまとめの骨子(たたき台)を提示。
ダブル連結トラックの本格稼働や隊列走行の商業化をにらみ、専用の走行レーンやSA・PAでの専用駐車スペースの設置、隊列走行するトラックの運行ダイヤ作成を管理するシステムの整備などを打ち出した。検討会は委員の意見を踏まえ、4月にも中間取りまとめの原案を提示する見込み。
会合の冒頭、国交省の池田豊人道路局長は「防災の関係ではあるが、高速道路の6車線が進めば隊列走行実現の追い風にもなってくる。物流が活発になっている一方でトラックドライバーはますます深刻になると見込まれている」と語り、隊列走行やダブル連結トラックの本格展開へ議論の取りまとめに協力をあらためて呼び掛けた。
意見取りまとめへ委員に協力を呼び掛ける池田局長
本線進入部で車の流入量調整する「ランプメータリング」に言及
骨子は高速道路インフラの整備・活用の方向性に関し、基本的な考え方として、
①車両技術開発やビジネスモデル検討と連携し、システム最適化/トータルコスト最小化
②完全自動運転の実現も念頭に置いたインフラ検討
③整備・活用のマスタープランと段階的プログラムの策定
――を設定。
具体的には、今後の取り組みとして
「走行空間」=一般車両と物流用車両の混在走行
「休憩スペース」=SAやPAの駐車マス増設、予約システム(有料)導入など
「分合流」=本線合流部での情報提供による合流支援など
「連結・分離スペース」=コネクトエリア、民間直結スマートICなど
――を進めることを盛り込んだ。
後続の車両が無人となる隊列走行が商業化された後の段階については、
「走行空間」=専用の走行空間確保(夜間など柔軟な運用)、並行路線も含め空間再編
「休憩スペース」=専用駐車エリアを整備、専用走行空間に直結
「分合流」=本線合流部での合流制御、専用走行空間への直結ランプ
「連結・分離スペース」=既存休憩施設の活用、専用走行空間に直結する拠点の整備
「隊列車運行管理システム」=隊列車の運行ダイヤ作成やマッチングなど
――を並べた。
両段階に共通する取り組みとしては
「交通マネジメント」=走行車両への情報提供(規制、事故、渋滞、駐車場満空に関わる情報など)
「交通安全施設など」=交通安全施設や舗装などのメンテナンス
――を掲げている。
当面の対応としては、まず新東名・新名神道でインフラ整備・活用の具体的な検討を進めることと、高速道の進入車線に信号機を置いて車の流入量を調整する「ランプメータリング」などの新たな交通マネジメント手法の技術的・制度的検証を行うことを記した。
さらに今後の課題として、隊列走行などに関する法制度の検討とビジネスモデルの具体化、インフラ整備の役割分担を列挙している。
(藤原秀行)