ANAHDや伊藤忠など、独最新eVTOLドローンを用いた血液製剤輸送の実証実験

ANAHDや伊藤忠など、独最新eVTOLドローンを用いた血液製剤輸送の実証実験

「レベル4」飛行解禁受け、早期の実用化目指す

ANAホールディングス(HD)と伊藤忠商事は5月25日、ローンを使った血液製剤輸送の第一人者による、血液製剤輸送の社会実装に向けた医学的検証のための実証実験を、茨城県稲敷郡の「ドローンフィールドKAWACHI」で、東京都立病院機構東京都立墨東病院と連携して実施したと発表した。

本プロジェクトは、伊藤忠商事が2022年3月に資本・業務提携と販売代理店契約を締結したドイツのWingcopter Gmbh(ウィングコプター)製ドローンを採用。伊藤忠商事を主体者、墨東病院を共同研究者、ANAHDを共同運航者として、温度管理が必要で慎重な取り扱いを要する血液製剤を、難度が高い全自動・高速の長距離安定移動で運べるかどうか、品質管理面とともに検証するのが狙い。

国内では初となる、ウィングコプターの最新eVTOL型(電動垂直離着陸機)ドローン「W198」を使い、遠隔地への血液輸送を想定した長距離・長時間飛行の実証実験に踏み切った。このeVTOL型ドローンは固定翼機でありながらマルチコプターのような自律垂直離発着・ホバリング機能を備え、一度の飛行で3カ所に配送可能なトリプルドロップ機能も有している。

厳密な温度管理が求められる血液製剤の格納するドローン用の保冷容器は、医療向け定温輸送容器の製造・販売に実績のあるスギヤマゲンの協力を得た。2種類の血液製剤を調達した墨東病院から実証実験を行ったフィールドまでの往復(片道約75km)の血液製剤の輸送容器と輸送に関しては、それぞれ東邦ホールディングス、セルートが協力した。

政府が昨年12月、ドローンが有人地帯上空を補助者なしに目視外飛行する「レベル4」を解禁したのを受け、物流など様々な領域でドローン活用が加速すると見込まれている。血液製剤の輸送に投入すれば、陸路を行くよりも輸送時間が短くなることが期待できるため、プロジェクト参加各社は早期の実用化を目指す。

■本プロジェクトにおける各社役割

今回使用したドローンの仕様

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事